「画質はボロボロ…音は完ぺき。それでもファンなら見るべし」souvenir the movie Mariya Takeuchi Theater Live Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
画質はボロボロ…音は完ぺき。それでもファンなら見るべし
竹内まりやデビュー40周年記念企画の映画。
たった2週間の限定公開なので、少しでも竹内まりやの楽曲が琴線に触れることがあったならば、迷わず観たほうがいい。
40年の活動で、ごくごくライブの機会の少ないアーティストのひとりとして有名。デビュー初期(1978~81年)にはコンサートツアーをしているが、結婚後は家庭と育児を優先し、18年後の2000年の「TOKYO FM/fm osaka 開局30周年記念コンサート」で14曲を歌唱し、以降、ゲスト出演やミニライブを除くと、2010年の「souvenir again」、2014年の「souvenir2014」と都合3回のみ。竹内まりやのライブは実に貴重でプラチナチケットとなっている。
本作は2000年のライブを中心として、インタビュー映像やロケ収録などを加えている。音源はアルバム「souvenir ~Mariya Takeuchi Live~」として聴き慣れたものだが、映像は一部を除き、初出しとなる。
加えて2010年のライブから2曲(「ウイスキーがお好きでしょ」、「マージ―ビートで唄わせて」)、2014年から2曲(「静かな伝説(レジェンド)」、「人生の扉」)などが追加されている。
2000年ライブは、映像化を前提としていなかったと考えられ、収録はスタンダードサイズ(4対3)で、とてつもなく画質がボロボロである。約20年前の解像度なので仕方あるまい。にもかかわらずライブ音質は完ぺきである。それは山下達郎だから抜かりはない。ステレオ収録ながら、音場を含んだサラウンド感があり、今回の映画用にリミックスされているようだ。
画質的には、特別料金2,800円は厳しいものがあるが、竹内まりやの実家である出雲の老舗「竹野屋旅館」(創業140年)の立て直し支援金だと思えば、まあいいや。
個人的には2010年、2014年のライブをナマで観ているが、2000年の伝説のライブの映像はとても嬉しいものである。ステージングのクローズアップ映像は、まるでアリーナ最前列のような雰囲気である。ライブ映像は、ファンにとっては "宝物"。
佐橋佳幸(ギター)は、まだ松たか子と結婚する前だ。今は亡き、青山純(ドラムス)の雄姿が…。うぉ、スタジオでの大瀧詠一と竹内まりやの2ショット写真も出てくる…。
やはり2014年のライブのほうが圧倒的に映像はキレイ。なぜ、あえて2000年の古い素材のほうを映画化したのだろう。おそらく、アルバムとして発売しているほど、ライブレコーディングの質に満足しているからなのだろう。
また画質は良くても、スクリーンの中の竹内まりやは歳を重ねてしまう。スリムなスタイルで、いつまでも変わらなく見えて、やはり"63歳"や"59歳のまりや"と、"45歳のまりや"の差は否定できない。
さらに演奏・歌唱技量の充実度も違う。ライブ回数の少なさが皮肉にも、こういうところに出てしまう。近年、山下達郎の声量も落ちてきているので、こちらが2000年の素材を優先したほんとうの理由かもしれない。コーラスの声が圧倒的に違う。
(2018/11/24/TOHOシネマズ日比谷/スタンダード・一部ビスタ)