「人を殺すとね、普通の理性ではいられないそうですよ。」銃 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
人を殺すとね、普通の理性ではいられないそうですよ。
ある時偶然に拳銃を拾うところから物語は始まる。モノクロの画面が、この話は現実離れした出来事だから心配しなくいいよ、と語りかけてくるようだ。しかし、拾った西川を演じる村上虹郎の熱量が、いやもしかして現実?の気分を起こさせる。虹郎はべつに過演出の演技をするわけでもないが、彼独特のたたずまいがなにか不穏さを醸し出してきてたまらなかった。
その彼が、徐々に大胆になっていく。まるで、柵のない崖の際で、どこまで端っこに立っていられるかの狂気を味わうように。そう、それは妖刀を手にした素浪人のようだ。そして、ようやくそのざわめきに慣れてきた頃に、今度はリリーフランキーがやってきて、無事で済みそうな空気をまたぐりぐりかき回し始める。警官、アリス演じる女学生、隣の母親、トースト女、ああ、もしかしたらこの誰かを、誰かを、誰かを、、、。息が詰まったところでのラストシーン。おいおいこの人だすかよ、とニヤけるが、それもつかの間。ああやはりそうなるか、そうなるよな、やはり。やはり。
いいように感情を振り回された映画だった。
舞台挨拶付き。山本耀司氏(かな?)の服をまとって登場した村上虹郎は、まさに何度も職質をされそうなファッション。そのいで立ちとは対象に、檀上の彼は終始ほかの共演者を気遣う好青年だった。あのタイプは、先輩から可愛がられ、女にモテる。
ただね、はじめ弾倉を確認したときに、6発全部詰まっていたよね?それはないでしょ。一発撃って死んでるんだから。
【追記】
・・・と書きました。が、コメント欄でご指摘いただいたように残るそうです。知りませんでした。厚顔にも人に言うところでした。勘違いに気をつけましょう。(なので、ネタバレ解除。☆追加)
>こっこさん。
コメントありがとうございます。
ひとは、それまでに経験のない非日常に遭遇すると、尋常では居られなくなるものですよね。あまりの恐怖に出くわすと、ニタリと笑ってしまうように。
その小説、覚えておきます。
な、な、なんたる無知であったか!ご指摘ありがとうございます。
この点は、訂正は入れておきますが、戒めといてそのまま残しておくことにします。誰かがかくかも知れなかった恥を道連れにして。