「お見事!3D恋愛感情」愛がなんだ ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)
お見事!3D恋愛感情
あー、不器用、不器用、不器用!!!!!!!
人は恋愛となるとどうしてこうも不器用になってしまうのだろうか?生活の全てが好きな人に振り回され、その人のためになら無理もするし、見栄も張る。たとえ相手が自分のことを好いていなくても、そんな恋をしている自分が好きな時さえある。
そんな経験をしたことがある人にとっては、本作の一言一句、一挙手一投足がボディブローのようにジワリと効いてくる。あー、自分はなんて痛いことをしてるのだろうと…(苦笑)。本作がかなりのロングランヒットとなっているところを見ると、そういう人が実は多いのでは?と勘ぐってしまう。
しかし、共感度が高いだけで本作のヒットが成り立っているわけではないだろう。まっすぐ行くのかと思えば、蛇行し、立ち止まり、時にUターンをするような物語構成は先を読ませない面白さもあるし、大袈裟にならない会話の数々はリアリティがあるものの、実にウィットに富んでいる。
だが、私が本作を高く評価する最大の理由は、恋愛という形ないものを描きつつ、その実態が何なのかを観客に投げかけているところだ。誰かのために自分を犠牲にすることも、報われなくとも努力することも、或いはその逆も含めて、愛とは何だ?何なんだ?と問うてくる。果てには好きという感情は誰のためなのかまでも問うてくる。
誰もが持つであろう“好き”という感情を多角的に描き、物語の奥に潜む感情の立体的構造は繰り返し観たくなる面白さがある。これは、お見事!自分の価値観も含めて久々に見終わった感想を多くの人と語りたくなってしまう、令和初の結構お気に入りな一作である。
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