「角田光代の感性と今泉監督の演出、相性どうなんだ」愛がなんだ AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
角田光代の感性と今泉監督の演出、相性どうなんだ
角田光代の小説はこれまでたびたび映像化されてきて、当然ながら女性ならではの感性や繊細な内面描写が大きな魅力だが、永遠のこじらせ少年のような男性のストーリーを得意とする今泉力哉監督に本作を託したのは、製作陣の大きなチャレンジであり冒険だったと思う。
テルコの愛は純粋だ。純粋過ぎて、常識人からすると馬鹿に見える。しかし、フィクションゆえの誇張であり、「恋は盲目」と言うように、恋愛は多かれ少なかれ周りが見えなくなるほど夢中になってしまうもの。中盤からの奇妙な三角関係にも笑ったが、ラスト近くでこの微熱に浮かれたようなフワフワした関係が、意外な人物の現実的な言動によって大きく動く。
男女の感情の行き違いが、女性作家の原作を男性監督が演出するというずれによって一層複雑化し、その相性はともかく、本作の味にはなっている。伊坂幸太郎「アイネクライネ…」の今泉監督による映画化も楽しみだ。
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