「『ナイトライダー』プラス『600万ドルの男』に一捻り加えたB級アクションの良作」アップグレード よねさんの映画レビュー(感想・評価)
『ナイトライダー』プラス『600万ドルの男』に一捻り加えたB級アクションの良作
自動車修理工のグレイは何者かに自宅を襲撃されて妻を殺され、自身は全身麻痺の体となってしまう。母に介護されながら失望の日々を送っていたところに顧客の一人であるエンジニアのエロンから自身が開発したAIチップ“STEM”を試してみないかと提案を受ける。“STEM”は埋め込まれた人間の身体能力を飛躍的に向上させることが出来る開発中の極秘技術で、復讐に燃えるグレイは“STEM”を相棒に妻を殺した犯人を探し始める。
脳内で会話が出来る“STEM”は昔懐かしいTVドラマ『ナイトライダー』における“K.I.T.T.”を体内に内蔵したような存在で、“STEM”によって獲得した超人的な身体能力もこれまた懐かしい『600万ドルの男』や『バイオニック・ジェミー』の再来。一方結構なグロテスク描写は『ハードコア』にテイストが似た全然今風のものでかなり上出来なB級アクションに仕上がっていますが、そこで終わらないのが本作の魅力。終盤から露わになる不穏な伏線が回収される意外な展開は、雰囲気は全然違いますが『her/もうひとつの彼女』や『LUCY/ルーシー』の影響下にあるサプライズに満ちています。メジャーな俳優がほとんどいないので全然話題にもなりませんでしたが個人的には大好きな作品です。
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