「私には痛いほど伝わった」ビューティフル・ボーイ xmasrose3105さんの映画レビュー(感想・評価)
私には痛いほど伝わった
新聞の映画紹介で知り、是非と思ったが、レビューのコメントの評価が余りに低く、どっち?と思いつつやはり観に来ました。観てよかった。
息子の気持ち、わかるよ。この父のダメ親ぶりも。深い所でいつも噛み合わない。でもいつも息子が合わせてる、父に。優しくて繊細な息子、疲れてる、父に。父、息子を愛していると思ってる、但し条件付きで。トロフィー・ワイフという言葉がありますが、トロフィー・サンですね。息子、気が付いてる、でも無意識で。段々と理性と心と身体が一致しなくなる。壊れそう。現実逃避せざるを得ない。父、言語化して、説明して、という。ライターだから、言葉で理解したい。世間も気になる。息子だって、自分の気持ちを言葉で言えたら、どんなに楽だろうか。できないから苦しい。生きてるだけでなぜだか寂しくて、死ぬほど苦しい。わかって欲しい。愛して欲しい、無条件で。時々出てくるお母さん、生みのママと、父のパートナーとしての女性。二人共良い人だ。愛のある人たち。でも距離がある、物理的にも、心の距離も。無防備で飛び込むにはちょっとだけ遠すぎて。何とか辛うじて、絶望と死との境界をフラフラ歩く。最後、やっとパパに無防備にすがった。やっと言えた「助けて」。父、トンチンカンだから「もう助けられないよ」。最後の頼みの綱、だったのに。でも父、アタマで考えてるから、もう悩みすぎて、息子がオオカミ少年のように思えて、ほんとにわけわからん状態。新しい妻、小さい子供達のパパでもあるから。ビューティフル・ボーイだった息子は愛せてもジャンキーの息子は...切り捨ててしまいたい、父の心も壊れそう。可哀想に。でもひょっとして、1ミリだけこの時、自分の中の欺瞞に気付いたかもしれませんね。わかりません。生みのママがこの元夫に「アナタ頑張ったよね。わかる。でも私あきらめない。」って。よかった、ここに命綱がありました。みんな総力戦で、やっと。
どこまでもどこまでもすれ違う。そしてまだ現在進行形。実話。こういう家族はたくさんいる。親に「なる」のは簡単じゃないよ。自戒を込めて。