「モンスターはいなくならない」ビューティフル・ボーイ ruさんの映画レビュー(感想・評価)
モンスターはいなくならない
モンスターは追い払ったよ、もう安心して…なんて簡単ではない。
日常が壊されていく戦争映画のように、ただ無力さや空しさを感じ続ける。後ろの席から大きな溜め息が聞こえた。
どこが運命の分かれ目だったのかなんて知る由もない。
家族の分離?変化?まさかロックミュージック?あの時尿検査したから?青年の知的好奇心が災いして執着が始まったのかも知れない、でも分析なんて何の意味もない。
いちど蝕まれたら、ただ波の間に顔を出して何とか息をしながら沈まないよう努めるだけ。
前にテレビのインタビューで、ドラッグ中毒を克服したという人が「今日はやっていないだけです」と平然と言っていた。こんな立派に更生しているのに何のことかと思ったけど本作を観て納得した。(元)中毒者など居ないのだ。インタビューをきっかけに再度沈んでしまったかも知れない。本当に怖い。
誰か大切な人が誘惑を口にしたら、まるで経験者のように泣きながら止めるだろう。そう思えただけでも観て良かった。
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