「マテルデちゃんの幸せを」THE GUILTY ギルティ(2018) ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)
マテルデちゃんの幸せを
祈らずにいられない。
デンマーク産、警察の緊急通報指令室を舞台にしたワンシチュエーションサスペンス。
去る事件をきっかけに現場の警官から緊急通報指令室勤務となったアスガーが一本の鵜右方を受けるところから物語は始まる。
電話の相手は女性、かけてきている携帯電話の情報から女性の名前はイーベンと分かる。どこか要領を得ない電話で話してくる内容が時々意味不明になる。
どうも、誘拐をされていて拉致相手が運転する車の助手席に乗っているらしい。アスガーは運転手に悟られないようにとイーベンに子供と話しているように会話を続けるよう言い、できるだけ情報を得ようとする。なんとか携帯の電波の受信位置から最寄りの指令室のに協力を求め、電話で聞きだした車種、白いワゴン者を探すよう指示する。
ここから怒涛の展開を見せるわけではなくて、警察の見つけた白いワゴン車は別の人が乗っていたものだったり、イーベンからの連絡も途切れたりと進展しなくなっていく。するとアスガーがイーベンの携帯電話情報から自宅の電話番号を割り出し、自宅に電話をする。すると、イーベンの6歳の娘マテルデが家で起こった出来事を電話口で話し始める。
序盤はややモタついた展開でなかなか事件の全容が見えてない。アスガーも敏腕オペレーターというわけではなくて色々と手は打つけど効果的なわけではないし時には裏目に出る。緊急通信オペレーターとしても塩対応だったりしまいには自分で何とかしろ!とか言い出したりと人間臭い。
この万能じゃないところが物語を更に面白くしているし、右往左往するアスガーに感情移入できてしまう。
彼自身にもチラチラと途中で出てくる秘密があったりして、その話とこの事件とどういう関連があるのかなと思っていたら最終版でその二つがガッチリ噛み合うことで、決して全てがハッピーで終わるわけではないし、むしろ事件にかかわっている人ほぼ全員がその後の人生が苦しいものになるのは間違いないんだけど、だからと言ってバッドエンドというわけではない。苦くもしっかり余韻の残るラストになっていた。
多分凄い低予算。だって通信指令室以外のシーンは1㎜もないし、実際に出演している俳優さんは数人、声だけの出演を入れても10人ちょっと。
だけど静かに引き込まれていくのは良く練られた素晴らしい脚本と、アスガーを演じる俳優さんはもちろん、声のみの出演となっている俳優陣も含めて情景が目に浮かぶような素晴らしい声の演技。
特にマテルデちゃんはその不安さだったり恐怖だったり悲しみだったり、表情は写っていないのに声だけでもう堪らん場面が想像できてしまう素晴らしい演技だった。
デンマーク映画あんまり知らないけど、この映画は素晴らしいかった。
アニメの実写版とかも結構だけど、やっぱりしっかりとした構成の脚本に裏付けられた面白さのある映画は例え時間が短くても見ごたえを感じる映画だった。
こんばんは~。共感ありがとうございます。
こちらはけっこう面白かった記憶があります。
ジェイク・ギレンホールのリメイク版を観たいですけど、U-NEXTでは配信されてないので、残念です。