「最後の電話は何処に。」THE GUILTY ギルティ(2018) 猿田猿太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
最後の電話は何処に。
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緊急通報指令室、現場からの電話の音声だけで進行していく特異なドラマ――安楽椅子から動かず難事件を解決するような名探偵なのかと思いきや、極めて感情的で、時に苛立ちを振りまきながらも事件に当たろうとするその姿。責任感というより、その職務にあたるその原動力は、犯人への腹立たしさであると思う。結局、行き過ぎて真相を捉え損ない、それが映画のどんでん返し。最後には落ち着いたけれど、ハッピーエンドであったと云えるかどうか。
追っていた男は叫んでいた。行政も弁護士も何もしてくれない、と。精神病の妻を抱え、そりゃもちろん社会保障や福祉が整っていると見なされている現代社会。それも痒いところには中々手が届く物でも無く、最初は凄腕に見えた司令室ですら、かくの如し。そもそも、もとから息子は死んでいた。殺された後ではどう頑張っても、どうにもならないではないか。
それでも見守っている人達がいる。単なる言い聞かせだと思うけど、主人公は犯人に家族が待っていると言い聞かせた。それは半分は真実だと思う。これまで、孤軍奮闘していたかのような主人公、それでも事件を終えた彼を心配そうに見守っていた、司令室の同僚達の姿があった。そう、誰かがあなたを見守っている、と――。
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