劇場公開日 2019年2月22日

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「手法のアイデアと奥の深さ」THE GUILTY ギルティ(2018) しずるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5手法のアイデアと奥の深さ

2019年2月27日
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知的

画面に映るのはほぼコールセンターの室内のみ、8割方は主人公のアップ。
視覚的刺激や盛り上がり、爽快感を期待する人には全く向きません。
お勧めしたいのは、想像力豊かな人、考察好きな人。
与えられるのは電話口からの通話情報と主人公の表情のみ。想像力豊かな人こそ、見えない事件の光景を鮮明に脳内に思い浮かべ、やがて自らの想像力に裏切られるでしょう。
ミステリーとして話の筋だけを追えば、さほど意外性があるわけでもない物語。ですが、視覚情報を与えない事で観客を振り回し、常識とは、正義とは、大義とは、果たして信じて振りかざしても良いものなのか、と懐疑の迷路に誘い込み、重々しい後味の悪さを覚えさせる手法を面白いと思いました。
次第に多重的に浮かび上がってくるタイトルの意味。個室に籠り外部をシャットアウトし、最後そこから出てくる象徴的表現。主人公アスガーの内面、心情、行動原理、それを是と受け取るか否と取るか。この映画が本当に描きたかったものは何なのか。
グルグルと考え考察すればするほど、ジワジワと面白さが滲み出してくる作品のように思います。

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しずる