「家族という閉ざされた社会」ヘレディタリー 継承 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
家族という閉ざされた社会
家族は社会の縮図だ。
そして、あるのは愛情だけではない。
血縁は、何よりも優先して語られるルールのようなものであり、様々な因習が周りから評価されることもなく続き、支配や愛憎も渦巻いてる。
血縁の頂点に立つ祖母。過干渉で精神的に不安定、ドールハウスに自分を閉じ込める母親。
無関心なのか冷静なのか、働いているのかも不明な父親。
祖母を慕いオカルトを感じさせる妹。
兄は、至って普通の高校生だが、この映画の中にあっては次第に追い詰められていくアンバランスな存在だ。
そして、物語は、仕組まれた罠にかかるように、有らぬ方へ有らぬ方へ展開する。
この映画はホラーだが、少し冷静に自分の事として考えると、ニュースでよく取り上げられる家庭内暴力やネグレクト、子供を溺愛するあまりモンスター化する多くの親、突如として家族をまとめて殺害してしまう事件など、物語と紙一重の現実に事欠かない。
少してんこ盛り感が強かったが、理想として語られる社会や家庭に対して突きつけられたようなアンチテーゼ、或いは、現実の写鏡のようで面白いと思った。
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