「鑑賞記録」ボヘミアン・ラプソディ ハッピー・ホーガンさんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞記録
※長いですよ。
11月12日にIMAXで、11月24日に応援上映で鑑賞。
○物語自体は超がつくほどに王道。
無名時代→ブレイク→個人的問題からのグループ断裂→一世一代の大ステージでの大成功
誰もがどこかで観たことのあるようなストーリーなのに、気がついたら体を揺らしちゃうほど音楽にのめり込み、肩を揺らしてしまうほどに泣いている。なんだ、ただの傑作か。
○クイーンリアルタイム世代ではない自分にとっては、一部の筋金入りのファンが騒ぐ「史実と違う問題」については割とどうでもいい話で。だってそれって「『おんな城主直虎』は史実にないことを語っている!」って叫んでいるのと同じことで。大河ドラマも、本作も、史実を元にしたフィクションだから。フィクションにとって歴史の忠実な再現ってそれほど大事なことでは無いと思います。忠臣蔵だって、吉良上野介が浅野内匠頭にどんな意地悪をしたとか、本当はわからないわけなんだから。クライマックスに向けて、いかに観衆のテンションを上げていけるか。物語において大事なことはそれなのではないかと。
その点においてこの作品は本当にすごい。動画で幾度となく観たあのライブが、あのセットリストが、これってフレディの人生そのものじゃん!と思わせるような話運び。一言で言い尽くすことなど不可能な人生の葛藤を抱えたフレディは、雲の上の天才などではなく、人の一生を懸命に生きる一人の人間そのものなのだと思わせてくれます。だからこそ「we are the champion,my friend.」という歌詞が、スッと心に入ってくるのだと思います。宇多丸さんがラジオで「フレディ自身の人生の肯定」と言っていましたが、これは様々な人生を歩む僕たち人間一人一人の歩んできた人生を、いいことばかりじゃない人生を優しく、力強く肯定してくれてるのだと思います。だからこそ、胸に迫るものがあるのだと思います。ちなみに僕は号泣でした。クリード以来の号泣です(何
・IMAXで鑑賞した時、体を揺らさずにはいられなかった「レディオ・ガ・ガ」。こりゃ応援上映に行かねばなるまいと思い立ち、いざ鑑賞。全ての楽曲で歌詞の字幕が入り、どうぞ歌ってくださいという仕様だったのですが、この仕様って実は作品の狙っているものとは違うのではないかなと。
作品中、queenは幾多の名曲を生み出していきます。その都度歌詞字幕が入るのですけど、物語はクライマックスのライブエイドに向けて進んでいくストーリーテリングになっているため、要所要所で入る名曲たちは皆で合唱するべき「歌」というよりも、queenというバンドが歩んできた道の中の「一つの出来事」だと思うのです。それに対して「歌ってくれ」だの「足をふみ鳴らしてくれ」だのと言われても、個人的には乗り切れませんでした。あ、ライブエイドは別ですよ。何度も言いますけど、物語の頂点はここです。僕たちの感情はこの一点に向けてクレッシェンドさせられてるわけで、頂点を迎えたこの瞬間こそ大いに歌うべき時だと思うのです。だから、「応援上映」じゃなくて「ライブエイドの観客になろう上映」にした方がめちゃくちゃ盛り上がると思うんですよね。盛り上がるというか、自然な感情の流れになるというか。
兎にも角にも今なお大ヒットをとばしている本作、見ない手はないと思います。アリーに覇権を握られる前に、是非鑑賞してください!