「溢れるクイーン愛。」ボヘミアン・ラプソディ こっこさんの映画レビュー(感想・評価)
溢れるクイーン愛。
フレディがクイーンの要であったことは、ファンならずとも周知の事実だが、他のメンバーや取り巻き達への目配せの利いた演出が非常に効果的に成っており、観客の私達があたかもバンドの一員としてその場に居合わせているような演出が、より一層クィーンへの愛情を高めている、そんなドラマティックな作品だった。細かい部分で史実とは異なる点があるにせよ、全くのウソ話という訳でもあるまい。
フレディの歌への純粋な情熱、複雑な家庭環境故の愛情表現の拙さ、スキャンダルに振り回される日々、猫の眼のようにクルクルと変わっていく流行音楽等々に、徐々に心も体も磨り減らしていき、やがてはバンドに亀裂が入るシーンは、本当に観ていてツラかった(事実では、解散状態に成ったことは無いらしいが)。
最後のライブシーンは、当時オンタイムで見ていのだが、それほど感動的なエピソードが裏に有るとは全く知らなかった。若い世代に新鮮に写っているのだとしたら、此れほど嬉しいことはない。楽曲が数多有っても、ビートルズやストーンズよりもマイナーだったクィーンが、こういう形で再び脚光を浴びるのも良い。ただ一時的なブームで終わらない事を願うばかりだ。
それにしてもバンドのメンバーが、予想以上に本物に似ていて驚いた。主役の方は、ミック・ジャガーも出来そうな顔立ちで、身体はもう少しマッチョに仕上げてほしかった。正直映画として「何度も観たい」と言うにはややドラマ的過ぎる感じがあるが、クィーンのライブに行ったような気分にさせる手腕は高く買いたい。