「世界を魅了した男の光と影」ボヘミアン・ラプソディ しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
世界を魅了した男の光と影
第76回ゴールデングローブ賞最優秀作品賞(ドラマ部門)受賞作。
IMAX(12.1ch)で鑑賞(字幕)。
クイーンの熱狂的なファンと云うわけではありませんが、時折CMなどで曲が流れる度、つい聴き入ってしまう大きな魅力を感じていました。フレディ・マーキュリーのボーカルと、今聴いても斬新でキャッチーなメロディーが渾然一体となって、体の芯から痺れて来るような高鳴りを覚えるのです。
公開前から観たくて観たくて堪らなくて、そう云う時に限ってなかなか予定が空かず、ようやくの鑑賞でした。
もちろんサウンドトラックは購入済み。もうすでに何度も聴きました。それだけで期待と興奮が高まっていく。
フレディの半生に圧倒され、色褪せない名曲たちの素晴らしさに痺れまくりな至福の時間を過ごしました!
今尚世界を魅了し続けるフレディの物語は、既存の価値観を打ち破るだけでは無く、圧倒的且つ鮮烈で、魂の底から湧き上がるような輝きを放っていると思いました。
「ボヘミアン・ラプソディ」などの絶大な人気を誇っている楽曲の数々の誕生秘話が描かれていました。独特のセンスに導かれ、紡がれていく歌詞とメロディー。
個性的なメンバーの才能も融合し、唯一無二の楽曲がつくられていく様はまるで革命のような高揚感に満ちていました。
瞬く間にスターダムを駆け上がっていくクイーン。フレディ自身も運命の人―メアリーとの結婚を経て、全ては順風満帆で前途洋々と進んで行くかに見えました。
しかし、光あるところには影がある。栄光の裏側には、己のルーツへのコンプレックス、セクシャリティーの興味本位の追求、ソロ・デビューを巡るメンバーとの確執がありました。
酒とドラッグと一時の快楽に溺れ、何かに追われるようにアルバム製作を続ける日々。やがて病に蝕まれていく体。…
孤立し、ズタボロになっていく彼の姿は痛々しく、そこにはひとりの人間の苦しみがあり、胸が締めつけられました。
おおよその展開は(痛ましいものの)伝記映画の常だなと思ったのも束の間、クライマックスに訪れた強烈な一撃!
一旦は崩壊しかけたクイーンが復活を懸けて挑む空前の大舞台。かけがえの無い「家族」と共に、秘められた想いを昇華させるかの如くのパフォーマンス。…
「ライヴ・エイド」のシーンはまさに興奮の坩堝。圧巻と感動の21分間でした。声援を許して欲しいくらい。さながら時を超えたライブ・ビューイングでした。
劇場がライブの熱狂に包まれ、一体となっていくように感じました。振付では無く、フレディの動きを完全トレースしたラミ・マレックに心からの称賛を贈りたい!
世界中をひとつにしたその瞬間、彼は圧倒的な伝説になったのだと思いました。光の部分だけで無く、影の部分もあったからこそ、人間的な輪郭が立ち現れる。
世間に迎合せず、自分自身を貫こうとしたその生き様はまさにボヘミアンだし、その生涯はラプソディのように奔放。彼の想いが反映された楽曲は人々の心を揺さぶって止まない。
だからこそ、史上最高のエンターテイナーとして君臨することが出来たのかも。なるべくしてなった伝説。言うまでも無く、その存在は永遠に語り継がれることでしょう!
[追記(2019/02/25)]
アカデミー賞4冠、おめでとうございます。
作品賞はさすがに無理かなぁ、とは思いましたが、ノミネートされていた5つの内4つを手にしてもはや感無量。大好きな映画がこのような栄誉に輝いたことが心の底から嬉しい。
[追記(2019/04/21)]
UHDブルーレイ収録の特典映像「ライブ・エイド完全版」を楽しみにしていました。やはり、圧巻のパフォーマンスでした。21分間に凝縮された熱量はハンパじゃないです。
編集時に2曲分をカットしたのは正解だなと思いました。そのままならテンポの良さが損なわれ、感動が削がれていたかも。本編と切り離して単体で観る分にはぴったりでした。
[以降の鑑賞記録]
2019/04/21:Ultra HD Blu-ray(字幕)
2019/12/07:Ultra HD Blu-ray(字幕)
2021/06/04:金曜ロードショー35周年記念(地上波初放送)
2022/03/27:NHK(字幕)
2023/04/21:金曜ロードショー
※修正(2024/04/01)
レビュー、チェックいただきありがとうございます。沢山レビューを書かれている方から共感をいただき、ありがたい限りです。
丁度、昨晩、友人から借りているBlu-rayで久しぶりに観賞して、フレディが自宅で手にした緑色の受話器を見て、細かい所まで作り込まれた作品だと改めて感心していました。
そして、冒頭から、ラミ マレックのアカデミー主演男優賞は、やはり文句なしだなと思いました。
自分も今日、レンタルで劇場で観て以来の再鑑賞しました。
ドラマ部分の平凡さは否めませんが、やはりオスカーに輝いたラミ・マレックの熱演とパフォーマンス、クライマックスのライヴ・エイドは何度見ても激アツ!
“ウィー・ア・ザ・チャンピオン”を聞いていたら、目頭熱く…。
クイーンの楽曲は特別ですね!