劇場公開日 2018年11月9日

「群衆の持つエネルギーと一体感」ボヘミアン・ラプソディ ichiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5群衆の持つエネルギーと一体感

2018年11月15日
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ラスト21分が、何故あれほどまでに感動を引き起こしたか、それはこの映画のストーリー、無名のフレディからの栄光、奢り、怒り、挫折、憔悴、憐れみ、そして愛情に包まれた復活劇を追体験できたから だけではなく、完全再現と言われるLIVE AIDのステージ上のみならず、観衆はもちろんステージを取り巻くスタッフ、会場の外にいる全ての人たちが一体となり、あのライブを目撃した全ての人たちの表情、内面を如実に描いているからではないだろうかと、二度この映画を観て思った。

映画は歴史の教科書ではないし、単純な伝記でもない。歌詞の意味をいちいち説明せず、聴き手に判断を委ねるのと一緒で、なぜこのような脚色を施したか、なぜ時系列を無視したか は観た人それぞれが判断すればいいと思う。

ビッグバンドの単純なサクセスストーリーかもしれない。それがなぜこれだけ感動するのか。それはラミ マレックが芸術肌のフレディの内に秘めた葛藤、苦悩までも完璧に演じ、最後のステージでその内面を押し殺そうとしながらも匂わせてしまうあの表情、そしてそれを振り切るかのようなあのパフォーマンスに多くの人が、観衆が、スタッフが、家族が、バーにいる人たちが、笑顔になり、一体となり、酔いしれている姿を完全に再現しているから、としか思えない。

ライブでの感動は、群衆の大合唱にあると思っている。それをこの映画は、完璧に再現してくれた。

shin