「いいとことう〜んなとこがあって結果微妙」ボヘミアン・ラプソディ ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
いいとことう〜んなとこがあって結果微妙
ひとことで言うと微妙。
乗りたいのだけど乗り切れない。
まずフレディ。似てるといえば似てる部類に入るのだと思うけど、僕がフレディの何が好きかっていうと、デカさだった、ということなのがわかった。デカくてかわいいから好きだったのだがデカくない。もうひとついうとお尻がダメだった。マリリンモンローの自伝映画に胸と尻のない女優を配置するようなものだ。口と顔の骨格ではない。
次に台本。せっかくフィクションにするならもっとうまくやって欲しい。家族、愛する人、メンバー、出揃ったパーツが点でしか出てこない。捻れてよじれない。
フレディを中心にやるなら家族と愛する人とバイセクシャルであるところをもっとうまくやるべきだし、舞い降りた天使のようなフレディをやるならメンバーの誰か、もしくは固定の外部の人間を中心に据えたほうがよかったはず。なので、描く方向のおいしいとこどりを企んで、中心人物の周りしか描けないので、特に前半、クイーンが音楽業界にどんなインパクトで現れていったのかがまったく伝わらない。レコード、カセットテープ、ラジオ、テレビから流れ出たあのサウンドとルックの特異性が、作り手のせせこましい描写しかない。ライブエイドのころにやっと酒場が出てくるが、ここも彼らの声がない。受け手だった一般人が出てこないのは致命的。肝心なライブのオーディエンスもCGの人波でなく、人のリアクションがもっと欲しかった。
とはいえ、ライブエイドのシーンは確かに泣く。でもそれはそのシーンの演出が見事とかでいうことでなく、スクリーンに見えるものでなく、スクリーンの彼方のほんもののフレディを想って泣いてるので、映画としては極めて凡庸だったな、と思う。
ブライアン・シンガー降板というのは見終わって知った程度だけど、ああ、と思えるほど継ぎ接ぎ感はあった。