劇場公開日 2019年3月22日

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「桜咲くこの時期にぜひ!」ソローキンの見た桜 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5桜咲くこの時期にぜひ!

2019年4月6日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

本作の中心となる松山捕虜収容所について何も知りませんでしたし、当時の国際情勢についても学校の歴史の授業程度のことしか知りませんでしたが、それでも十分楽しめました。

鑑賞後に少し調べてみると、主人公ゆいはフィクションらしいですが 、ナカの金貨のくだりは事実をもとにしたものらしいです。当時のロシア人捕虜と看護士の間には、本作で描かれたようなロマンスがあったのではないかと、想像がふくらみます。

ですが、家長絶対の当時の日本で、女性が自らの意思で結婚相手を選ぶことなど許されません。そんな中、ソローキンへの思いと家族を見捨てることのできない思いの板挟みに苦しむ、ゆいがとにかく切ないです。そんなゆいを、主演の阿部純子さんが凛としたたたずまいのいい演技で見せてくれていたと思います。

現代と明治を何度も行き来する構成でしたが、スムーズな転換で違和感がないのもよかったです。クライマックスまで起伏の少ない展開が続きますが、この構成がいいアクセントにもなっていたと思います。終盤の展開は興味深く、特にラストは、ほぼ予想どおりとはいえ、それでも涙があふれてきました。

ただ、家族の敵であるソローキンに、ゆいがどうしてそこまで惹かれたのか、そんなゆいの結婚がどうして破談にならなかったのかが、いまひとつ理解できないというか、腑に落ちませんでした。そのあたりをもう少し丁寧に描いてくれていたらと思います。あと、斎藤工さんの存在も意味ありげだったのに、最後まで見ても何かスッキリしませんでした。

とはいえ、桜咲くこの時期にぴったりだし、日本人として知っておくべき内容のある一本なので、興味のあるかたは見て損はないと思います。

おじゃる