劇場公開日 2019年3月15日

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「記憶の片隅にある一瞬を擽ぐる」まく子 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5記憶の片隅にある一瞬を擽ぐる

2019年3月16日
iPhoneアプリから投稿

男の子が少年に変わる、ほんの一瞬の物語だ。
大人になんかならなくて良い。
それは、「帰りのバスを待つ短い時間」…がずっと続いて欲しいと、叶わないと分かっていても願ってしまう気持ちと一緒のような気がする。
バスは来る。それは分かっていても、その一瞬がとても愛おしい。

女の子を好きになるのに、あれこれ理由はいらない。
寂しそうな転校生には気持ちを寄せがちだ。
少しでも心を開いてくれたら、二人の心がずっと通い合うような気にさえなる。

そして、大人の恋愛はどこか純粋じゃなくて、利己的で、誰かを傷つけてるように感じてしまう。
でも、いつかは自分にもプラトニックではいられなくなる日が来る。

こうして、一瞬一瞬の出会いや葛藤も繰り返し、繰り返し、記憶の美しいカケラになっていく。

小さな永遠は、風に乗って流されず、落ちて降り積もって、更にいくつも積み重なって、大きな永遠になるのだ。
まく子は、きっと自分だ。
まいて、下に落ちて降り積もった、小さな想いや、願い、葛藤、そして経験が、いつの日か大きな大きなかけがえのないものなることを知り、誰かに伝える時が、きっとやって来る。

ワンコ