劇場公開日 2019年5月24日

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「子供を調達するのは簡単じゃないからね」バイオレンス・ボイジャー KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0子供を調達するのは簡単じゃないからね

2019年6月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

容赦の無い残酷な寝物語。
16時台の教育チャンネルの短編番組にありそうなタッチのつくりなのに、こんなグロテスクな映画に仕上げてしまうところが悪趣味で震える。ほんと最悪だよこんなの、もう最高。

寂れた娯楽施設にマッドサイエンティストおじさんと不気味なロボット達の真実、迷い込み捕らえられた子供達のおぞましい顛末。
金髪外国人少年ボビーのスリリングで血みどろな脱出&救出劇。
単純にも思える話の幹に、気持ち悪い飾り付けがてんこ盛りでお腹いっぱいになれる。

王道の展開ならこうなるだろうな、という予想を悉くハイペースに裏切ってくれるので、事が起こるたびに口があんぐりと開いてしまった。
およそ子供が主役とは思えない出来事の連続にショックと歓喜。
いやあんなポンポン死んでいくとは。犠牲の数と質にメーター振り切ってる。
猿吉爺さんがもう一捻りしてくれたら大喜びしちゃうんだけど。

ゲキメーションという手法を初めて知った。
紙人形劇と紙芝居とアニメーションが融合したような表現、全て一人で作り上げたとは驚愕。
その特性上テンポが少しまったりしているように思えるのが玉に瑕だけど、それ含めて良い映画体験だった。

体液や液体の描写には性癖すら感じた。
そこだけ実写の質感なのが好き。
少し泡立っていたりドロついていたりと、とにかく凝っていて肌にヌトヌトまとわりつくようだった。
剥き出しで体液ダダ漏れの肛門とやたら全裸が出てくるのも。
そして絶対ぺろぺろするコウモリくん可愛い。

肉塊や謎の液体、絶望的な造形はこの手法ならでは。
実写では相当気を使わないと安っぽくなってしまうだろうが、手描き調のゲキメーションだからこそ迫力と嫌悪感をこれでもかと感じられたのだと思う。

個性の濃ゆいキャラが多く、魅力的だった。
あっくん&やっくん兄弟が結構好き。
その頭の格子模様はなんなんだ…。
ブロンド美少年のボビーに比べてめちゃくちゃ不細工に描かれているの不憫でかわいい。
たかしちゃんの不器用加減、古池のマッド加減、小学生のくせにダンディでセクシーなたかあき君も好き。

吉本が関わっているからなのか、豪華な声優にも驚いた。
アニメ作品をほとんど観ない私でも名前を知ってるレベルの声優陣。
小野大輔ボイスの小学生で本当笑っちゃう。
サバンナ高橋氏とココリコ田中氏の芸人勢がなかなか上手かったし、まさかの松本人志のサプライズも良かった。
時子の超絶棒読みは流石に気になったけど。

またしても映画の無限の可能性を感じる作品だった。
第二弾三弾と創って欲しい。
受付のネズミのセリフが何回も変わってるのが好き。

KinA