劇場公開日 2018年8月18日

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「手法の驚き」大人のためのグリム童話 手をなくした少女 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0手法の驚き

2018年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

映画を観て驚く時、2種類の驚きがある。内容への驚きと「こんな表現の仕方があるのか!」という手法への驚きだ。映画の歴史もそれなりに積み重なり、さすがに最近は手法自体に驚くことは少なくなっていたが、これは久々に手法そのものの驚かされた。

クリプトキノグラフィーと監督が独自に名付けたその手法は、一枚一枚の絵はところどころ線が欠けていて不完全だが、それらの絵を連続させることによって初めて完成した絵が浮かび上がる。欠けた部分をそれぞれの絵が補うことで、人物が浮かんでくる。
一人で長編を作るためにデッサン量を減らすことにしたことから生まれた手法だという。
日本のアニメは作画枚数を減らすことで作業効率を確保したが、この監督はデッサン量を減らすことで効率化を図った。結果、効率だけでなく独自のテイストのアニメーションを生み出した。

映像が絵の連続であるからこそできる、新しい絵の描き方だ。

杉本穂高