「しずかにガツンとくる」夜明け 森のエテコウさんの映画レビュー(感想・評価)
しずかにガツンとくる
クリックして本文を読む
「過去に何があって、これからどうなるのだろう」
監督のオリジナル脚本だけあって、ずっとそんな思いを抱きながらストーリーを追う。
徐々に明らかになるそれぞれの過去。
次第に、やるせない気持ちと切ない気持ちが高まる。
生きるって結構大変だ。意味なんかないと言っても簡単には捨てきれない命。
何かの意味の為に生きるのではなく、生きていること自体に意味があるのかもしれない。
柳楽優弥は、朝ドラの雰囲気と打って変わり、『誰も知らない』の少年の面影を残し、何かを信じる気持ちと信じ切れない気持ちに揺れ動く繊細な演技だ。
自分の負の感情を表し、何かをかなぐり捨てることが出来たとき、人は初めて前に進める。
それを新たな夜明けと呼べるのかもしれない。暗い夜も、いつかは明ける。
この映画から、苦しみを抱えて生きる意味、家族とは?というテーマを投げ掛けられた。
しかし、やや分かりずらいシーンがいくつかあり、登場人物達の過去もあまり詳しく語られないため、どっぷり感情移入し切れない部分があった。
長めのシーンを削り、過去の描写が増えれば、今の苦しみがより理解でき、更に共感が増すような気がする。
エンタメに寄らず、ドキュメンタリー的手法で人間の本質に迫ろうとする新しい監督の今後の作品が楽しみだ。
コメントする