「独白」七つの会議 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
独白
最後の独白を聞かせたかったのだろうなぁと思う。至極、正論ではある。
滑り出しは何がターゲットなのかてんで分からず、八角のアウトローさだけが目立つ。中盤くらいに種あかしがあるのだが、それまでは延々とパワーゲームの話しが続く。
生き辛いサラリーマン社会に辟易しつつも、綺麗事だけでは回らない社会に諦めに似たような感情も抱く。
恐るべき病に侵されてんだなと。
治療も根治も出来ないだろうなと。
1度組み込まれてしまったら逃げ出せない。
嫌なら出でいくしかない。
それが日本のサラリーマンなんだと思う。
いや…この国の国民性なのかも。
話しの核はデータ改竄の話で、それが何故起こるのかって話。
まぁ、サムライ精神どうこうな独白には納得できる部分はあるものの、根本はもうちょい違うのだろうなぁと考えてしまう。
金はあるに越した事はない。
名誉も地位も、欲しくないわけじゃない。
その欲に際限が無いって事なのだと思う。
競争社会や、昇級や業績。あらゆるものが比較されて評価される社会の影みたいなものだ。
それでも昔は、そこに情や常識が常駐し、ギリギリのバランスを保ててたのだと思う。
結果に数字という物差しを当てた時、数字は嘘をつかないなんて標語が出来た時、そのバランスは無残に崩壊したのであろう。
作品的には、八角のアウトローさが鼻につく。
あんな牙を丸出しにした状態で20年も過ごしていたのだろうか?
巨悪に立ち向かうヒーローらしすぎて、気持ちが悪い。
彼のキャラがこの作品自体を絵空事と思わせてしまっているようにも思う。
見終わって、胸がすぐ思いがするわけでもなく、ただただ虚しさだけが残るような。
自分達が必死に戦ってる戦場は、その前線は、こんなにも無価値なものなのかと、こんなにもハリボテの企業理論に洗脳されているのかと。
俺はサラリーマンじゃないからそう思うのかもしれないが。
総体的には、日本の病巣をえぐるだけえぐった映画ではある、か。