ジュリアンのレビュー・感想・評価
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・・・開いた口が塞がらない
思わせぶりな作品紹介で、男親にもなにがしか、一分の理があるのかと思いきや、まったく救いようのない結末に唖然とした。そして無音のエンドロール・・・
冒頭に結末を匂わせるものはあったが・・・
子供の親権をどうするかの話し合いで男親の職場の評判は関係なかろう。
職場で「良い人」が家族にとって良い人とは限らない。
と、思いつつも、おなじ男としてはこの男親に共感したいところ。息子との関係修復や和解が期待できるのか?と思い、観た。
子供の面会権を主張するのは妥当と共感する部分であり、母親(妻)にも何かあるのか?と見ていくと、息子に対して案外素っ気ない父親。何かにつけて元妻との動向を探ろうとする態度は何なのかと思っていたが、DV夫の特徴的行動様式なのか。
最後は警察沙汰になり、救いようのない結末で開いた口が塞がらない。
銃はともかく、日仏、そんなに違わないのか?と思わせる映画ではあった。
日本で同じ映画を作ったら生々しくて見ていられないかも。ただ、昨今は母親(妻)の子への虐待や夫へのDVもあることだし、この映画を全面的に支持できるものでもない。
そもそも、DV夫がDVに至っている経緯が分からない。
煽り運転が必ずしも煽られるほうが正しいことがないように(煽り運転を推奨するものではないが)、客観的に見れば妻の方の言動にも問題がありそうな気もする。
離婚が成立しているらしいので、子供の面会権を主張するのは良いとして、妻との接触はNGとして条件に加えるべきだったのか、この男の違反行為なのか・・・
家庭も職場も捨ててしまっては、閉塞感しか残らないような・・・
どうせ嫌われている母子には粘着せず、気持ちを切り替えて社会復帰を切に願う。
と言うことで、母子に対して「助かってよかったね」ではあるが、それ以上に思うことはない。
途中、娘の件は映画として意味があったのか、やや疑問。
元妻へのDVの再発を表現したかったにしては冗長に思えた。
妊娠検査薬?を使っているようなシーンもあったが、ストーリー展開として何かあったのか?
小道具としてルノーカングー(男が運転していた白い、日本で言うところのライトバン)が使われていたのは、同じカングー乗り(日本では乗用車として売られているが)としては楽しめた部分(映画の本質ではないが)。
自分にも起こり得る身近なサスペンス。 最初から無意識に母親に肩入れ...
自分にも起こり得る身近なサスペンス。
最初から無意識に母親に肩入れしてしまっていたのかもしれないけど、聞き取りの場面でどうフラットに両親を見ようと思っても親父が嘘をついているようにしか見えなかった。
もちろんその後もずっと親父に嫌悪感。
涙を流しているシーンでさえ嘘くさく感じた。
あと、他の人のレビューにもあったけど、ラストがあそこで終わりというのが拍子抜け。
大団円好きとしてはその後親父が全面的に転落して、母子が笑顔で日常に戻っている様子が見たかったし、なんなら隣人のご婦人とも笑顔の一絡み欲しかった。
…でも大団円に見せないからこそ緊迫感と余韻が活きるのかな?
日本版の予告だと誤解するかも
どっちが嘘をついてるのかとかそういう話ではないような
真実を突き止めるとかそういうのではなくて、DVをなかなか見抜けない制度や現実、DVそのものに焦点をあてている
フランスでは2日半に1人DV被害の女性が死んでいるそうですが、調停の時間がものすごく短くて(実際短いらしい)、えっ、それで親権決めちゃうの?というかんじでさもありなん…
日本だと男性が悪いと決めてかかったような調停もあるそうなのでなるべくフラットに…と思って見ていましたが確かにどっちがホントのこと言っているのやら…
弁護士も夫側はきちんと証拠能力のありそうなものを持ってくるし…
父親役の役者さんほんとハマリ役というか、大柄で、手も女や子供の頭を包めるくらい大きくて、座った目で、いつ何をするかわからない感じが出ていてビクビクしてしまった
殴られてる瞬間だけでなく継続的に緊張を強いられるのがDVなんだなー…
わざと無視してるときとか、車の運転が乱暴なときとか特に怖かった
あとDVで銃が使われるかもしれないというあたりすごく怖かった
日本でも猟銃は所持できるけど免許取得大変だし所持率も高くないし日常的に銃殺されるリスクってほとんど考えないけど外国(フランスに限らず)だとそういうこともあるんだよなぁという…
子役は今回長編デビューらしいけどすごく良かった
父親役との体格差が効いていたし、撮影中ほんとに怖いと思う瞬間もあったとインタビューにあってなるほどな〜というかんじ
トイレのシーン、妊娠検査薬…?かな…?と思ったけどどうだろう
妊娠して家を出たいのか、それともストレスで生理が止まった…?とか思ったけど字幕見逃した…?
全体を通しておもしろかった
画面として美しかったのは最初の調停員のオフィスかも
☆☆☆★★ いや〜!久しぶりになかなかの胸糞映画でしたな〜(-_-...
☆☆☆★★
いや〜!久しぶりになかなかの胸糞映画でしたな〜(-_-)
しかもこれは、かなり後を引きそうなくらいの胸糞振り。
映画の冒頭、弁護士を交えての話し合い。
双方の話だけを聞いていると、妻側の意見には強引なところが感じられ。少々無理なこじ付けではないか?…と思えるのだが。
此処から映画はジワジワと、人間の真の怖さとは何か?を炙り出す。
中盤での子供を騙し、家に乗り込む場面。
男は突然に改心したかの様に見せ、一旦は安心させる。
この場面が有るだけに。最後の場面に繋がる時の怖さは倍増する。
特に、この時の暗闇での長廻し。
「行ったのだろうか?いや、まだ居るのかな?…もう行っただろう?」の。あの気になって眠れなくってしまう感覚。観ていても、この監督デビュー作らしいですが。いや上手いなあ〜…と。
映画のラスト。
男は逮捕され、既に安全は確保されているのに。その恐怖から、母親と息子はなかなか外に出る事が出来ない。
そして、それは通報した隣人の老婆にも言える。
事件は解決しているのに「良かったわね〜!」と喜ぶ事が出来ない。
みんながみんな、「これで本当に終わったのだろうか?」…と言う、心の底に不安感を持っている終わり方だった。
また、明らかに演出自体も「まだ何かあるんじゃないか!」と、観客に思わせている様に見えた。
この感覚って過去にも有ったなあ〜…と思い、「あゝそう言えば!」と思い当たった…。
ブレッソンの『ラルジャン』だ!
2019年1月28日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター2
そこで!?
終わるのかと。
悪そうな父親がどんどん正体を現していってストーカー化して、うおー!ぶっ放しやがったよー!!とドキドキする展開。この後どんなどんでん返しが待っているのかと、勝手に期待してたらそこで終わってしまった。
もちろん、十分怖くてハラハラな展開で楽しんだんだけど、何故か次の展開があるものだと思ってしまった。
ひねくれものはイヤだね。
音楽がないと、日常性のリアリティが強まる
最後のエンドロールに音楽が全くないので(今どき珍しい!)気が付きましたが、全編、パーティで歌うバンドのシーン以外には音楽がつけられていなかったと思います。
音楽なしにこれだけのサスペンスというのも珍しい映画ですが、それだけ日常の音にリアリティを感じることができます。
ジュリアンの父親の荒っぽい運転操作と乱暴に吹き上がるアクセル音やブレーキ音、路肩をタイヤが擦る音などに彼の苛立ちと妻に会えない焦燥感が現れてきて、怖がっているジュリアン自身の心理も表情以上に伝わってきます。
唯一の音であるバンドが演奏している音楽がCCRの「プラウド・メアリー」など古いアメリカ音楽というところも、現代フランス社会を描く映画として意味深です(このパーティの位置づけ自体はもう一つよくわからなかったですが……)
音楽にどんな意味があるかと思って調べたら、CCRにこだわっていたのではなくて、夫のDVに苦しんで乗り越えたティナ・ターナーへのオマージュという監督のインタビュー記事がありました。なるほど、そういえば昔、彼女は旦那のアイクとデュオ組んでたときこの曲をカバーして大ヒットしたんだ。舞台裏は地獄だったのかもしれない。
最後は、日常では起こりえないように思えて、実はDVの末路としての日常がサスペンスいっぱいに描かれる。重いけれど、正直な映画です。
パパは悪ものチャンピオン
子役もすごいがDV親父がマジ怖い。
くまちゃんみたいなルックスなのにスクリーンに登場する度に空気が張り詰める。嫌な汗かきまくりです。
レイティングGなのでフィジカルな暴力や血の描写はまったくありませんが、リアルなDVの体感には血の気が引いた。トラウマ物。
やや冗長な場面や説明的なシーンにダレる箇所もあり。
普通
なんか離婚調停みたいなのから始まって、話し合いの末にジュリアンが犠牲となり毎週末会うことに。
そこから徐々に父親の本性が明らかになってゆく。
最初は両親ともクズかと思ったが、まぁ父親の方が感情を抑えることができないタイプの人間だったみたい。
息子と毎週会えることにはなったものの、妻にはなかなか会えず、パーティがあるから週末を変更してほしいと息子に言われたが妻から直接話されなかったことに苛立ち、父親の実家での食事中に妻がこっそり引越しだと知るとその場で息子を問い詰めて父親と祖父が口論し実家からは閉め出され、娘のパーティに勝手に顔を出しプレゼントを渡そうとするが妻と話し中に妻の妹の友人である男が現れると態度を豹変し妻に暴力、終いには息子を問い詰めて聞き出した引越し先の住居に深夜やって来てインターホン連打、開けてもらえないとわかると玄関のドアを猟銃でぶっぱなす始末。
当然妻と息子が家にはいて泣きながらやめるよう叫ぶが聞く耳を持たない父親。
近隣住民が通報し父親逮捕。
内容が至って普通で邦画と何も変わらなかったし、もう少し洋画としての捻りがあっても良かったのかなと感じた。
タイトルなし
この環境で子どもはマトモに育つのだろうかと親目線で観てしまった。離婚率が高いと思うけど、こういう環境がまず普通なのかなと、よく映画で離婚した親子を見てると思う。最初の離婚調停みたいな場面から、だんだん本性が現れ、最後爆発する。こんなオヤジは恐ろしいが、いそう。
忘れてはいけないこと
(追記)
ここ数日報道されている野田市の少女虐待死のニュースですが、少女の感じた恐怖がどれほどのものだったのか想像するだけで、涙が出てきました。
児童相談所とか学校関係者が父親の剣幕に威圧を感じたからアンケートを父親に渡してしまった、と弁解していましたが、家庭という密室でその威圧に晒される少女が受ける絶望的な恐怖への想像力が僅かでもあれば、放置なんか出来なかったはず。
対応の不適切さもさることながら、その『想像力の欠如』こそが最大の問題なのに、メディアも対応のまずさばかり強調し、悲劇の少女への同情と駄目な大人たちを攻撃することがニュースの主題になっているのが心配です。
関係した大人の中に一人でも健全な想像力が働く人がいれば、フォローの訪問なり、再度の保護などで取り返しがつく(少なくとも死なずに済む)可能性があったことを伝えるべきだと思います。
再発防止のためには、想像力が働かないと結果的に見て見ぬ振りをしたことになる、という事態の深刻さをもっと強調したほうがいいのではないでしょうか。
(2019.2.3)
体格も含めた暴力的な威圧に晒された時の恐怖を、恐怖を覚える側から描いており、切迫感と言う意味では、並みのホラーの何倍も緊張を強いられる。
他の入居者が開錠したタイミングに紛れて入ってくるのではないか?非常用の外階段を伝って上ってくるのではないか?
そのような、あの場面では誰もが想像するであろう恐怖が静謐の中の微かな金属擦過音で表され、観客も我が身のことのように息を飲む。その数分間は小劇場の低い天井と観客席の間に、シーンという文字が漂っているように錯覚するほど。
一見、ジュリアンに比べて楽な立場と誤解される姉の恐怖心とストレスもトイレの足元の定点映像だけで見事に描かれており、このアイデアだけでも凄さを感じました。
「サスペンスとして上出来」と作品の仕上がりに満足してしまうとついなおざりになってしまいがちですが、忘れていけないのは、DVも殆どの場合、被害者は女性と子供たちだという事実。
裁判の場に持ち込めたとしてもこの映画のようなことは起こるし、『万引き家族』で描かれたような為すすべのない子どもたちも現実にはたくさんいるのだと思います。
偉そうなことを言っても自分ができることは限られますが、せめて、もし自分の周辺で、暴力的な気配を察知するようなことがあった時は見て見ぬ振りだけは絶対にしないようにする、と思ってます。
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