「息子は、父に会いたくないと言って戦死を装った。」天国でまた会おう 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
息子は、父に会いたくないと言って戦死を装った。
古きフランスの風情が漂う良作。冒頭のアルベールの尋問シーンから、朴訥とエドアールとのいきさつを話し出す。二人の出会いから、(おそらく)逮捕に至るまでの過程は、劇中で想像がつく。しかし、ではエドアールはどうしているのか?あふれる才能を父に認めてもらえず、パリに舞い戻ってから鬱屈した暮らしに明け暮れ、途方もない詐欺を企てた彼の今は?その思いだけが、観ている僕の思考を支配していた。
はたして、予想の範疇でありながら、それでもその時、とめどなく涙が流れた。あの潤んだ瞳が忘れられない。復讐と和解は切り離すことのできないセットだったとしか思えないくらい切ない。そしてあのラストは、フランス人らしいエスプリが効いていた。
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