「覚書(良い映画だけど、なんかスッキリしない)」天国でまた会おう zhiyangさんの映画レビュー(感想・評価)
覚書(良い映画だけど、なんかスッキリしない)
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帰る場所を失ったおっさんと、帰りたくない青年、二人の帰還兵がWW1後のフランスで国相手に詐欺を働く。
良くも悪くも平凡なおっさんと、芸術家肌な青年は最初からすれ違っていたが、片や(一度捕まったっぽいが)大金と家庭を手にし、片やわだかまりのあった父と和解し命を絶った、対象的な結末が印象に残る。それと青年の「冒涜したいんだ」という言葉。
わかりにくくはないが、わかりやすくもない、説明的な映画ではない。ある見方をすれば自分たちを地獄に送り、居場所も奪った国や社会を「冒涜」することは成功してる。人を人とも思わず青年の実家を乗っ取ろうとした中尉への復讐も結果的に果たした。大金も手にした。しかしスッキリしない。なんやかんやあってもおっさん(とチビの女の子)がハッピーエンドを迎えたのに、首謀者の青年が薬に手も出した挙げ句自害してしまったからだと思うが。どれだけ詐欺の絵が注文されても、詐欺のために敢えて平凡に描き、詐欺だから名乗り出ることもできず、大金を手にして騒いでもそれが何になったのか。
最初は青年がおっさんを振り回しているような印象だったが、終わって振り返ると計画が順調に進んで身なりも良くなるおっさんと少女に対して、仮面ばかり増えて外にもろくに出てる描写がない青年の虚しさが通底してたのかもしれない。
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