「よかった」機動戦士ガンダムNT しかさんの映画レビュー(感想・評価)
よかった
まずはじめに、オカルトがひどいというレビューをよくみかけましたが、初代のララァとアムロの別れ(の描写)、Zのカミーユに逆襲のシャアのラスト、ここまでみてきてそれらは受け入れられているのに、今回のナラティブをオカルトだと論じるのは正直わたしには今更のことかと思います。
今までの人類ではないのです、オールドタイプから抜け出した、人類の新たな可能性を秘めたニュータイプの話なわけですから…。
今回の映画にて、人類は死すら超越し、克服できるのではないか?という問いに対し、人類にはまだ早すぎる、と描写されました。(わたしはそう解釈しました。)
そしてこれは死の克服だけの話ではなく、ニュータイプがニュータイプとして受け入れられる、皆がニュータイプとして開花するにはまだ時間がかかる、時間が必要なのであると、そういう示唆でもあると思います。
初代ガンダムから今回のナラティブでも同じことを言っていたり繰り返しています。人間(オールドタイプ)はニュータイプを、ニュータイプの示す奇跡(人の可能性)を受け入れられないということ。そこから生まれる苦悩と悲劇、過ち。
何度も何度も同じことを…と不満に感じる人もいるかもしれません。けれど、それを何度も繰り返すのは仕方ないことであり、その繰り返しに意味があるのだとわたしは思います。
だってまだ人類全体がニュータイプとして開花する「その時」には至ってはいないのですから…。ガンダムで描かれる苦悩と悲劇を克服した時、それはガンダムが真のエンディングを1つ迎える時ではないでしょうか。
そうやって同じような苦悩と悲劇、過ちを繰り返して、でもそのたびにニュータイプは希望をみせてくれる。
どれだけ時間がかかろうとも、いつか「その時」はやってくるんだって、そう信じていてねって、わたしは何度も呼びかけられるのです。