劇場公開日 2018年11月30日

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「もはやオカルト」機動戦士ガンダムNT コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0もはやオカルト

2018年12月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

一見さんお断り。
『UC』を観てないとわからないことしかない。
それどころか、『1st』『Z』『ZZ』『逆シャア』も観てないと、意味がさっぱり分かりません。

以上の宇宙世紀に関する知識があって、新型モビルスーツが暴れるだけでOKな人や、小難しい説明を並べ立てるだけでうれしい設定マニアには、いい作品だと思います。

作中で出てくるエピソードが、ことごとくセリフだけ。
コロニー落としも、コロニーの中に、落とされたエリアに何人いて、どのくらい非人道的か見せていない。
兵器類も、(その世界の)既存兵器との対比でどのくらいの大きさと強さなのか、と理解されるような見せ方をしていない。
必要なのは説明セリフではない。
直感で理解できる「描写」が重要なのに。

一切それらがなく「皆さんご存知の」ではじまる。
他人の作った過去作品におんぶに抱っこ。

さらに私にとってつらかったのは、『UC』と同じく、いやより一層、「ほとんど設定語り」が強くなった点。
映像学校の若い学生に「構成が分かるプロット書いて」と指導したら、設定の羅列の企画書用文書を見せられたような、徒労感に似たセリフの山にうなだれつつ。

「ナラティブ 」とは「語ること」、また別に「叙情的、神話的な話」や「見えない部分を個々が考えられること」を意味します。
そこから「ストーリーごと、歴史ごと、設定ごとの隙間から、いろんな解釈ができる」と広げ、モビルスーツもオプションでいくらでも機能拡張できる痩せた素体みたいなデザインにしているのはわかるが。
「俺ははこう解釈してる」って同人誌の二次創作どころか、三次四次レベルの設定ごっこ。

しかもニュータイプとサイコミュの在り方が、フォースと新興宗教の融合みたいになっちゃってて。
「ニュータイプ教福井派」みたいな、異端宗教っぽく。
キャラの語るニュータイプの定義を聞いてると、カトリックから何がどうやってモ●モン教になったんだ?レベル。
それどころか、超能力や超常現象というスピリチュアル同然の、謎の論理が展開されて頭痛が。
これ、オカルトだよ。
その教義を示すためにキャラを用意し、オモチャのためにモビルスーツを作り、話をでっち上げて無理に乗せた感が強く。

他の作品で言えば、映画ならエイリアンシリーズの『プロメテウス』『コヴェナント』、アニメなら『GODZILLA 星を喰う者』『宇宙戦艦ヤマト2202』が内包する問題に連なります。
『宇宙の法』または、『ヘレディタリー/継承』とも変わらない印象。

おかげで、物語に入り込むことも、キャラに感情移入することも、全然できませんでした。

作画も全体に崩れ気味。
劇場クオリティじゃない。
タイトルを『ガンダムUC外伝 ナラティブ~奇跡の子供たち』とでもして、ちゃんとOVAイベント上映と謳ってほしかった。
Z世代あたりのオールドガンプラファン相手のフィルムとして、こういう作品があってもかまわないけど、新作劇場版とするのはいかがなものか。

自分の苦手要素がてんこ盛りで、「ああ私が観てはいけないものだった」という無念さに覆われました。

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コージィ日本犬