「新たな問題提起」機動戦士ガンダムNT 佐久間さんの映画レビュー(感想・評価)
新たな問題提起
ガンダムユニコーンの時と同様作画が綺麗ですのでスクリーンで見る価値ありだと思います。(特にフェネクスの描き方)
大音量で聞く澤野さんの音楽も良かったです。
ガンダム作品は様々な社会問題を取り上げてきました。ユニコーンは人間の感情というものに重きを置かれた作品であり、その点で優れた作品であると思います。今回のナラティブもユニコーンの流れを汲んだ作品だろうと思っていましたが、良い意味で裏切られました。
ナラティブで取り上げられた、人間は死を超越するかという疑問。それは確かにあまりに現実離れしているように思われますが、作品で言っている通り人間の脳はまだ使われていない部分が多く、人の心にはまだ未知の領域があります。他の動物と違い人間は言葉を用い、自己を認識し、己の死を認識する。つまり人間は他の動物と異なり肉体よりも精神が大幅に発達している。肉体は存在しうるものとしての限界をもつものの精神は物理的に存在しえないという意味で限界をもたない。肉体が死してなお、精神が存在し続けることは人間ならありえることであると思います。それを具現化するマシンができたとして(十分ありえる可能性)人間は死(ここでは己の存在の限界)を超越したと言ってよいのか。
今まで外物であった自然を克服することに向けられていた人間のエゴが今度は己の内に向けられる。
だからフェネクスは最後に人の手の届かない宇宙すなわち自然へと飛び立っていったのでしょう。ヨナが絶望するなかバナージがかけた一言はマシンなど使わずとも人間自らの精神を広げていけばいつか死んだものとも心通わせることができるのではないかという意味ではないかと思いました。
と言いつつ、未成年の私からしても死は恐ろしいものですが…