劇場公開日 2019年11月15日

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「アンドレア・ボチェッリの声の秘密」アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0アンドレア・ボチェッリの声の秘密

2019年12月13日
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鑑賞方法:映画館

【Time To Say Goodbye 】

加山雄三が、
ラジオのインタビュー番組で大好きだというこの曲をリクエストしていました(数年前の話)。

そのときの彼の表現に僕は深く頷きました ―
「銀座の山野楽器の前でこの曲がかかると、通行人が足を止めて、何人もの人がその場に立ち止まってこの声に聞き入っているんです・・」

そうなんです。
銀座の歩行者だけでなく私たちも思い当たるふしがたくさんあると思います
ペンが止まる、皿洗いの手がふと止まる、アクセルが緩んで車のスピードが落ちてしまう(⇒実話、笑)。

彼アンドレア・ボチェッリの歌唱の魅力はどこから来るか?
どこに我々の心をここまでに惹き付けてしまうエッセンスがあるのか?
― このことを、僕は彼のブレーク以来何年も考えていました。
そしてたぶんこれなのだろうと見つけた答えは

【アンドレア・ボチェッリは微妙に音が不安定なのだ】、です。

・その歌唱力のひたむきではありつつもよくよく聴いてみれば未熟で力不足の弱さが見え隠れし、パーフェクトでない故にこそ聴衆の中に強力な無意識の傾聴を引き起こす。
・ひずみ、ゆがみ、小さな傷。限界の中であがく“完璧でない事の美しさ”、の再発見。
それだと思います。

これはコンピューター演奏では再現しきれません。人間の魂の切実さ・揺らぎ・一途さの一番良いところが彼の歌唱には真っ直ぐ表現されているんです。
(僕は邦楽を少しかじりました、楽譜には記せない外しがあります、そして人は外れている所に突然感情の横Gがかかるのですよ)。

サラ・ブライトマンとのデュエット、良いわー
イタリア語の響き。愛をささやくために生まれた言語なんだなぁ。

ネオオペラ、カンツォーネ、
ジャンル的にはフリオ・イグレシアスに寄ったオペラティック・ポップスか。

以上、
映画のストーリーとは別次元ですが、コメントしてみました。アンドレア・ボチェッリ大好きです。

きりん
talismanさんのコメント
2019年12月13日

きりんさん、お返事ありがとうございます。映画のご紹介も嬉しかったです。吉永小百合が出てる「長崎ぶらぶら節」、周防監督の「舞妓はレディ」で、長唄や踊りの場面、楽しめます!

talisman
talismanさんのコメント
2019年12月13日

きりんさん、コメントありがとうございます。ご両親のお気持ち、私と同じです!それから、「微妙に音が不安定」に深く感動しました。私は長唄習っているのですが、微妙なズレというか、譜面通りでないところに美しさとあうか、心揺すられます。これからも、色々教えてください。

talisman