A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのレビュー・感想・評価
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一組の夫婦と一軒の家をめぐるストーリー
人は死んだらどうなるのか、誰もが一度は考えたことがあるはず。その問に対するひとつの考え方を描いた作品。
死を語ることは生を語ることだと思う。
地上の蔵のものは天上の蔵には持って行けない。せめて生きている間に感じた愛情や思い出を持って行けたら。そして、せめて誰か時々思いだしてくれたら。
大きな時間の流れの中で、ひとりの人生なんて束の間。死後の世界を考えることはどう生きるかを考えることだと感じた。
石の下のメモと、柱の隙間のメモにはなんて書いてあったのだろうか。
ゴーストのシーツの皺の表情に心が揺れた。
Artsy, Easy to Digest
A cute concept of a central ghost character covered in a bedsheet. The film is a hodgepodge of pieces of great cinema, edited together like the final aging sequence in 2001 Space Odyssey while the sequences are slowly performed a-la Tsai Ming-liang. Scenes of the apparition are acutely spooky while the film is a tender love story. Optimistic themes of reincarnation. Off-balance music sequence.
地縛霊。
成仏の描き方がとても日本的、東洋的に思えたが、もしかするとこちらが勝手に日本的と思っているだけで、もしかすると万国共通に存在する価値観なのかも知れない。あのメモを見せるか見せないかで、大きく評価や感想が変わるような気がするのだが、未練を現世に残すという感覚は誰もが想像できることだし、その普遍性を描いていると思えば、われわれが具体的なメモの中身を知る必要もないのだろう。ただただ想いを残してそこにいる。地縛霊というほかない(わざわざ病院から帰ってくるのが面白い)存在であり、どこかしらにああいう存在が要るのかもしれないと想像が膨らむ、それだけでもこの映画を観る価値があるような気がする。こちらも思いを馳せはしても、あえて近づこうとは思わない。同じ世界に棲んでいてもいいし、棲んでいなくてもよい。なんとも不思議な魅力のある映画だ。
人間の視点で観ない映画
死んだ男がゴーストになり、愛する女性を見つめている。これはそれだけの映画である。しかし、ゴーストは愛する者がいなくなった後も、その場にとどまり続け、変化を見届ける。全く起承転結のない作品で、ともすれば眠くなる作品だろう。しかし、異様な魅力を持った作品であると思う。
人間は自分の一生しか生きられず、自分の目線でしか物事を観察できない。しかし、ゴーストは悠久の時を生きる。歴史の大きな流れ、世界全体の時の流れの雄大さを、ただ白いシーツをかぶせただけのゴーストをそこに佇ませているだけで表現しているような、そんな不思議な作品なのだ。
人間の視点ではないなにかを映像化したと言えばいいだろうか。この映画を見る観客は主人公のゴーストと同じ視座にたって人間の営みを見つめることになる。この映画を観ている最中、普通の社会生活を送る人間の視点ではない視点に自分が立っていると感じさせてくれる。
ゴーストという名の、流れゆく時間を見つめる定点カメラ
見た目は可愛らしくてキャッチーでポップ。だがその実、本編そのものは極めてアーティスティックで実験性に富み、よくぞまあ、これほど作り手の意志をとことん尊重したモノづくりが貫かれたものだと感心させられる。もちろんこれを観て、あまりに起伏やセリフの少ないストーリーラインにすっかり飽きちゃう人もいるはずだ。しかしそれと同じ分だけ、ファーストカットから瞬時に惚れ込み、猛烈に心掴まれる人も多かろう。死んでもなお愛する人を想うラブストーリーとしても秀逸ながら、それ以上に人の意識や魂といったものが時空を超えてたゆたう様が、一瞬にして10年、100年をまたいで見せるスケール感が、ありきたりの死生観や宗教観のレベルをはるかに超えて胸を揺さぶってやまない。いつしか時の流れをじっと見つめ続ける悠久の視座のような役割を担うゴースト。ほんのわずかな壁の穴から壮大な宇宙を垣間見せてくれる”映像詩”にとことん魅了された。
映像美が切ない心情を淡々と…
往年の名作「ゴースト/ニューヨークの幻」をイメージしながら鑑賞したが、良い意味で大きく期待を裏切られた。ネオクラッシックと言うべきか?
ファンタジー感は確かにあるものの、本作のゴーストは日本でいうところの「おばQ」ばりで少々ずっこけ…(汗)
でも、澄んだ映像美の中、ワンカットの長さやセリフの少なさ等が独特な画面アスペクト比の中で切なさを大いに醸し出し、本作を良作まで押し上げたと思う。
正直意図するところは今一つくみ取れなかったかも知れないが、本作の重みはしっかりと感じられた。
派手なアクションもなく1から10まで説明してくれるドラマ物とは全く違うストーリー展開。映画はこれで良いと真に思うし、これぞ映画とも思う。
愛しいもの
自分が愛しいもの・人の存在や、それへの執着で人格を保っているタイプの人間なので
シーツおばけになって立ち尽くす主人公に非常に共感してしまって胸が苦しかった。
自分もこうなってしまうような気がしてならない私としては、この物語が終始
悲しい優しさに包まれているのが救いに感じた。
スクエアに近い画面サイズによって、ちょっと観る側との距離感ができる感じもあって絵本のような童話みたいな空気に合っていて好き。
ルーニー・マーラのセリフ少ない中、たたずまいだけで魅せれる演技と存在感はこの作品でも抜群に発揮されててとてもよかった。
生者と死者のそれぞれの悲しみが静かに描かれている映画。
自分が幽霊になったような感覚
役者の顔も白いシーツに覆われてほとんど見えないし、セリフも少ない。シュールな現代劇のようなあいわば「アート系」の映画である。が、不思議と退屈ではなかった。
永遠のようにも感じる時間の中、他社と接触できず、目の前の出来事を眺め続けることしかできない。
観客であるはずの自分が幽霊になったような感覚に襲われる。
未練を残して死んだ場所から家族が消え、家が消滅し、新しいビルが建てられ、時代すら変わっても、ゴーストたちは現世への未練から同じ場所をさまよい続けている。
彼らが消える瞬間は、日本でいうところの「成仏」に近いのかもしれない、そう思った。
シーツは幽霊には必需品?
非常に異様な雰囲気がある映画でした。
死んで、生前に何かしら未練があると、その未練が解消されるまで成仏出来ずにこの世に居座り続ける。大まかにはそんな話だと思うけど、終盤で開拓時代に先住民に無惨に殺された親子なんか、ものすごい怨念があると思うけど、幽霊になってない。なんでって矛盾を感じちゃいました。
やっぱりシーツに覆られて安置されなけゃ幽霊になれないのかも?隣の家の幽霊も柄付きのシーツ着てたもんね。
これはまたかなり独創的な…。 切ないとかいうレベルの話じゃなくても...
これはまたかなり独創的な…。
切ないとかいうレベルの話じゃなくてもっと壮大で深いテーマがあるようなないような。
本当に面白くなかったし私は好きではないけど、決して駄作ではない。
刺さる人には刺さる作品だと思う。
ルーニーを追って
彼女の作品はどれも素晴らしい
魂は思いを諦めなければそこにとどまるのだと思います
人はよく存在の価値とか理由とか言いますね
私はあまり深く考えたことがない
大きな志があるわけでもないし心底死にたいと思ったこともないから
ただ毎日ダラダラとうっすらとした欲望を満たしているだけ
それくらいがちょうどいい感じなのです
困難にぶち当たってもどうにかなる、何とか乗り越えられると諦めずにやってきたしこれからもそうだと思う
望みといえば親より先に死なないことくらいかな
「順番は守れ」と父に言われましたからね
大いに満足した時に「もうこのまま死んでもいいかな」と頭をよぎったことは何度かあったけどそれもすぐに忘れちゃう
あまり深く考えすぎると手詰まりになって抜け出せなくなっちゃいそうでそんなのは困るけど私はそこまで思考の器が深くないらしい
知人にはそんな人がいましたよ、私は側でのほほんとするしかなく何も出来ませんでした
ゆっくりと時が流れる良い作品でした。
ホラーか?⇨ヒューマンドラマか?⇨から凄いところに行き着く
僕は映画を観るとき、その映画が鑑賞者をどこまで連れていってくれるのかがかなり重要な要素になってくると思っている。
そういう意味で本作は着地点が全く予想がつかず、
ジャンルも悉く入れ替わり、そしてそれでもしっかりと一貫した作品として始まりから終わりまで成立しているこの作品を評価せざるおえない。
本作はかなりミニマルな作りであり、そのミニマルさは全編を通して伝わってくる。
(画面のスクリプト比の狭さ、そしてフレームの角の丸さ、過度な長回しと美的なロングショットなどのかっちりとした構図、セリフや音楽、登場人物の少なさ)
このミニマルさにはタイトル通り、一亡霊の個人的な話であるという一貫性がある。
しかし、このミニマルさこそが後半の壮大な展開へのギャップをうむ。
前半部分のドメスティックでセンチメンタルな展開から、中盤は凄まじい未来や過去を行き来しながら眺める時間や人類の流れ、そして忘れさられていく個人や建築物の歴史、跡形もなく変化していく世界という存在の虚しさや諸行無常さへと繋がっていくという、かなり思想的なところまで行き着く。
ホラーからラブストーリーやヒューマンドラマを経てテレンスマリックのような境地に到達するとは。
そこには飲み会である男が語る唯物論やかつてネイティブアメリカンに殺された隣家の人々の歴史、そして待ち人来ず成仏していく亡霊や時空を超えて亡霊でありながらかつての自分や自分の亡霊すらも目撃してしまうというメタな世界観、かなり独特な表現や思想を取り入れることで物語がぐっと深まる。
こういう全く未知の空間へと連れていってくれる作品は案外稀有なものだ。
しかしそこまで難解というわけでもなく、ちゃんと鑑賞していれば全て理解できるくらい情報量も少ないミニマルな作りなのである。
正直こんなわかりやすい作品を難解な作品だとかアートな作品と言ってしまえるのは、少し映画鑑賞するうえでの知性とか知的指数が足りないように思う。
長回しだってかつての映画ではもっともっとまどろっこしかったり難解だったりしたものだ。
そういう人間は自分が理解できる範疇のお話や自分が求めるお話しか享受したくない駄々っ子のようなものだ。
作品を評価できる土台に立っているとは思えない。
この作品は評価されて然るべきである。
しかし傑作というより佳作とか特別賞とかそういうのがお似合いの愛らしくも素晴らしい作品という評価である。
豊饒な映像美と退屈な偶然は違う
内容の薄い、一見芸術性を追求したような映画で、ほとんど中身が無い。
画角をテレビのようなフレームで区切ってあり、何かの視覚的効果を狙っているようだ。全編にわたってそうなっているので、監督の宣言と見て取れる。「この映画は絵画的に見てほしい」と言いたげに映る。
交通事故で死んでしまった男が主人公で、死体安置所で顔を確認に来た女性はたぶん結婚相手。死体だった男はむっくりと起き出し、布をかぶったままのゴーストになる。ここまでで映画の見せ場はほとんど出てしまった。
あとは時間軸がさかのぼって、開拓時代の家族が先住民族の襲撃を受けて全滅したときからそれを見つめていた幽霊とか、自分の目的や記憶をなくしてしまった幽霊とかのコンタクトがはさまり、余計に話がめんどくさくなっていく。別に話が複雑に絡み合う訳じゃなくて、ただ重さが増えただけの印象だ。
絵画的に見てほしいなら、映像美を追求した結果を見せてほしいところだが、どうもそんな努力をした形跡はない。例えば、自分の姿が生きている人に見えないことを知ったうえで、牛乳のグラスを持ち上げ床に落として割ったり、食器棚から皿をありったけ投げつけて散乱した床の散らかり方が、なんとも美しくない。
恋人が傷心のあまり、差し入れのタルトを爆食いしてやがてトイレに駆け込み吐き出すシーンも、撮り直し無しの一発テイクなのか、無意味に長すぎる。
不思議なのは、お隣さんの幽霊との会話シーンだ。「やあ、こんにちは」とか会話をする日本語の字幕が入るが、一切セリフは無い。これ、字幕なしの通常公開版はいったいどんな処理が成されたのだろうか?まさか日本語字幕版のみこのセリフが付け足されたなんてことは無いと思うが、もしそうだとしたら重大な改変だ。
とにかく、意識的にコントロールをして撮れた美しい映像を見せてくれるものだと期待した私は、なんともがっかりした。同じ低予算でも、もう少し工夫できる余地がいっぱいあったから。そのアラが目立つのが気に入らない。
2020.8.20
幸せ、悲しみ、孤独・・・
とにかく不思議な話。事故で死んだため、シーツを被った幽霊になった男が、愛する妻をひたすら見守る。この映画が語っているのはただそれだけです。ひっそりとした場面が最後まで延々と流れます。セリフも少なく、誰も喋ってないシーンのほうが多いです。数分間、同じ映像が続いていきます。ただ、一つ不思議に感じた部分があります。妻を見守る男は、誰にも気づかれない幽霊で、シーツを被ってるので顔は一切見えないはずなのに、なぜか場面によってシーツの顔部分が変わっているように見えました。妻が悲しければ自分も悲しく、妻が嬉しそうなら自分も嬉しい。そんな感じで、シーツ越しでも彼の表情は見えているような気がしました。
もしかしたら幽霊の彼は、自分が死んで妻に認識されなくなったことが受け入れられないのかもしれません。確かに体は妻のそばにあるのに、彼女はそれには決して気づかない。そのことが彼に孤独を植え付けているのではないでしょうか。一度死んでしまえば、蘇ることはできない、それでも妻のそばにいてあげたいという彼の思い、気持ち、悲しみ。幽霊は一切言葉を発しないけど、彼の心情の全てが幽霊として表れていると思います。
幽霊になれば、誰も自分に気づかなくなるから、孤独で寂しくて悲しくて仕方ない。一番のテーマはここなのかもしれません。静かに始まり、静かに終わる。決して、興奮したりスカッとしたりワクワクしたりする物語ではありません。鑑賞する側がどういう心境であるかや観る視点によって、この映画は幸せにも悲しくも寂しくも感じると思います。何がそうさせるかも、人それぞれでしょう。幽霊になった男か、夫を失った妻か、ただひたすら静かな情景か。でも、観終わった後の不思議な余韻に浸る感覚は皆同じだろうと思っています。
何かわからないものがずっしり残る
邦題だと「a」とか「the」って省略されちゃいそうだけど、この場合の「a」ってすごく会ってよかったと思う。「大勢いるうちのひとりの」ゴーストについての物語、というニュアンスがすごくしっくりくるから。
感想としてはいいも悪いも、面白いもつまらないも、なんと説明していいのかわからない。観ていない人にはとにかく観てとしか言えません。
一見静か、に流れていくストーリーの中で、時々ブハッと吐き出される感情。
ゴーストには声も表情もないから、それは実に激しく、ゴースト的なやり方で表現される。
単調な中にそんなアクセントが入って時々ドキッとします。
このゴーストは日本的(仏教的?)に言うと地縛霊になると思うのだけど、成仏シーンが妙にリアル。気が済んだ瞬間にゴーストは突如消滅し、残されたこっちが置いてけぼりにされて妙な余韻がしばらく残る、そういう意味での面白い映画です。
成仏
私的にはよくわからない映画に思えた。
中盤までは、なんとなく無駄シーンが多いなと思いつつ、
幽霊ってこんな感じなんだろと考えていました。
終盤は、理解不能です。
最後のシーンもですがもう少し説明が欲しい。
霊の視点
表情やセリフを使わずに感情を表現するという野心的な取り組みを音楽に過度に頼らずに、カメラの視点や構図を上手く使いながらそれに成功していたと思います。
妙なアスペクト比を使っているのでキワモノかと思いきやそんな事はなく、正統派で観終わった後に今日は映画観たなぁという満足感を味わえました。
おまけに他人を思いやる気持ちや愛に触れて優しい気持ちになれた気も。
Daniel Hartのサントラも良かったです。
Darkroomsの歌モノもありつつも観賞後に余韻に浸りながら聴いてます。
起承転結のような普通の映画じゃない
まず画面が小さい
そういうシーンかと思ったら終始同じ大きさだった
ストーリーは結構いいと思う
言いたいことは伝わる
ただ尺が長い
もっとまとめれる気がする
まとめないのがこの映画の魅力だとしたら私には合わなかった
愛着のあるおばけ。
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交通事故で死んでしまった男が成仏できなくて幽霊のまま妻を見つめ続ける話。
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ザ・アート系映画なので映像は綺麗だけど特に話もセリフもあまりないので、将来カフェを開くことがあったら絶対この映画プロジェクターで壁に流したい(笑).
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この布を被ったおばけって小学生の時に最初に描く基本のおばけなので、普通にめっちゃ可愛い。妻の残したメモを見ようと必死に柱をゴシゴシする姿は抱きしめたくなる(笑).
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