「☆☆☆★★ 狼のキスによりラザロは、現代社会に昔の姿そのままに蘇る...」幸福なラザロ 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★ 狼のキスによりラザロは、現代社会に昔の姿そのままに蘇る...
クリックして本文を読む
☆☆☆★★
狼のキスによりラザロは、現代社会に昔の姿そのままに蘇る。
映画そのものとしては、タンクレディが愛犬のを呼び。その声に呼応し、喜びで満面の笑顔を見せるラザロの顔のアップで終わるのが、言わば普通と言える。
…だが。
昔の仲間達の、現在の生き方には共感は出来ないが。映画はまるで、現代社会に於ける貧富の格差を憤る様な展開を見せる。
教会へとやって来る人々には、それぞれに何らかの理由が有る筈。しかし、【聖なる心を持つ】ラザロらを無下に帰してしまった事で。神の怒りを買ってしまったのか?教会から賛美歌が消える。
先日、観直す機会を得た『パフューム ある人殺しの物語』には。或る意味での《神の復活》を願う宗教映画としての側面が(此方の勝手な思い込みもあるが)在ると思ってはいる。
『パフューム…』の主人公は、ラストに。生まれ故郷のパリへと戻り。人々に食べられた事によって、肉体は消えて滅びるものの。魂は人々の心の中へと生き続けるのを(勿論、勝手な解釈ですが)示唆していた。
一方、この作品。銀行にてラザロの肉体はやはり滅びた様に思える。しかし、ラザロの魂は…。
(おそらく)ラザロの魂は、生まれ故郷へと帰って行ったのだろう。
ハリウッド映画だと、宗教的な作品は直接的に表現するが。ヨーロッパ系の作品だと、時々この様な描かれ方で、《神の復活》を願う作品が産まれる気がする。
2019年4月30日 Bunkamura ル・シネマ1
コメントする