「下地」ブラック・クランズマン U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
下地
存外、社会派だった。
むしろ、監督がスパイク・リーなのだから社会派でない方がおかしい。
エンドロールを見て知った…。
ほぼ予告のみに惹かれ観にきた。もう少しコメディ色もあるのかと思っていたのだがシリアス路線だった。特にラストで現政権を引き合いに出すところなんか。
KKK団に潜入捜査する黒人警官。
かなりぶっ飛んだ設定なのだが、どおやら実話らしい。
実際、潜入しているのは白人警官なんだけど、これが案外上手くいく。疑問なのは、潜入捜査した結果、どおしたかったのかが分からないところ。KKK団による活動を未然に防ぎたかったのか、会長を拘束したかったのか、解散させたかったのか。
…まぁ、目的はどうあれ爆破テロを防ぎはしたみたいだ。これから芋づる式にKKK団を検挙して行きたかったのであろうが、上層部の意向により握り潰される。
辞職しようとした刑事が取った行動は、敵側に正体をバラす事。あまり爽快な感じはしない。
作品の至るところで見受けられるのは、白人の傲慢さと黒人の冷遇され方だ。
イジメのような口撃がちょいちょい描かれる。社会的には大した影響もないのだろうが、やられてる側は単純に腹が立つ。ぶちギレてぶん殴っても、非はないと思える。
そして、白人の狂気だ。
とある映画に熱狂し歓声を上げる様は何に洗脳されてるんだろうと恐ろしくなる。
その映画がKKK団が再加熱したキッカケだと黒人の口から語られる。
そんな事が起こるのか…?
だけども徴用工の話が再燃したのと同時期に、韓国では軍艦島で労働させられていた徴用工の映画が作られてもいる。
そら恐ろしい前例である。
映画の作り手は、そんな意向を汲み取ってくれた観客に対しどんな感情を持つのだろう?
社会を扇動できた事にほくそ笑むのか?
予想だにしない反響に悩むのか?
…どちらでもないだろう。
興行収入がアップした事をただ喜ぶだけだ。
世論を調査し作品を作る。それだけだ。
つまりはこの作品もそんな事だ。
世論に問うてる。
昔の事例を引っ張りだして。
それなりの危機感が大国に蔓延してるんだろう。デモ隊に車が突っ込んだのいつの時代の映像なのだろう?
アレはリアル?それとも映画の1シーン?
正気の沙汰ではない。
純血の白人が汚される?理解が出来ない。
トランプの発言が引用される。
KKK団の会長が、その見解を述べる。
歴史は繰り返されようとしてるのか?
そんなバカな…。
本国の事情はよく知らないが、色々惑わされてはいけないと切に思う。
あんな社会はおかしい。
罪は個人が負うべきであり、肌の色に問うべきではなかろうが?
当たり前の事だと思うのだけど、そこを捻じ曲げた時代があり、前例には事欠かない。
…下地はまだ結構盤石な感じであるみたいだ。