バーニング 劇場版のレビュー・感想・評価
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なんか一昔前のATGみたい。
上映時間か長い。が、結構あっという間に終わった。って言うことは面白かった、て事なんだろうな。
三者三様のワカモノの描かれ方がおもしろい。サイコなのかどうかわからないけど、その微妙なバランスの描かれ方にも引き込まれる。たんたんにながし。
裕福でも心が貧しいグレートハンガー
面白かったなぁ
この先どうなるの??と思いながら
ずーっとドキドキしてた
小説家志望のイ・ジョンス(ユ・アイン)は、幼なじみのヘミとソウルで再会する
その後、ジョンスはヘミから「アフリカ旅行に行っている間、猫の世話をして欲しい」と言われる
ヘミのことが好きなジョンスは、言われた通りに世話をするが、ヘミはアフリカで知り合ったというベン(スティーブン・ユアン)と共に帰国する
その後しばらくして、ヘミはベンと共にジョンスの実家へやってくる
その時、ベンはジョンスに「ビニールハウスを燃やすのが好きだ」という話をする
そして、その日以来、ヘミは失踪してしまう
この世の中には、貧しい人と、そうでない人がいる
多くの人が、毎日、生活していくために汗水流して必死になって働いている
しかし、中には「特にこれといった仕事をしなくても裕福に生活していける人」がいる
この映画のジョンスは、田舎町の農家で細々と暮らしている低所得層の人間だ
しかし、彼には「小説家になりたい」という夢がある
一方、ヘミに紹介されたベンは、働かなくても暮らしていける富裕層の人間だ
その時、ジョンスはヘミに夢中だったため、ベンに対して嫉妬するようになる
ここから、ジョンスの人間臭さが炸裂する
ジョンスは、小説家を目指しているだけに想像力がたくましい
ベンが金持ちだというだけで胡散臭い奴だと思い、あらぬ方向へ妄想が広がっていく
でも、そんなジョンスの気持ちがよくわかるのだ
どんな金で生活しているかもわからないベンは、それだけで怪しい奴だと思ってしまうし、どうも貧乏人を見下しているように見えてしまう
だからこそ、ヘミもベンの悪事に巻き込まれたに違いないと思ってしまうのだ
しかし、それはジョンスのベンに対するただの嫉妬ではないのか
それまで、お父さんのことを嫌っていたジョンスだったが
結局、お父さんの子供だったのではないのか
この世には、韓国と北朝鮮の間にあるどうしても越えられない残酷な境界のようなものが、
韓国の富裕層と貧困層の間にもあると思った
ベンが遠くに見える北朝鮮を見て「面白れー」と言って鼻で笑っているように
貧しい人たちのことも、上から目線で笑っているように見えてしまうのだ
どんなにジョンスがベンの後を追いかけても、ジョンスにはベンの生活が理解できないし、そこから何かを解決することはできない
人々の間に明確に存在する貧富の差、そこから生まれる嫉妬、どんなにもがいても越えられない壁がそこにはあるのだ
そして、善人だったジョンスの中で妄想が膨らみ、ベンに対する憎悪が育っていく
しかし、そんなベンは、裕福な暮らしをしているとはいえ、とくに目的もなく日々を過ごしている
その生き様は人間として豊かかと言えばそうではなく、
貧しい人生を送る「グレートハンガー」なのだ
失踪したヘミのことを全く気にしてもいないベンよりも、心を痛め、気にせずにはいられないジョンスの方がよっぽど心が豊かなのだ
しかし、そのことに気づかず、見た目の裕福さに気を取られてしまうのがジョンスの「若さ」なのだ
この映画は
現代社会の闇と人間の心の闇が融合し、それを主人公の心ごと炎上させるというとてもお見事な作品だった
見る人が育った環境によって、様々な解釈ができる作品
興味があったら、ぜひ、観て欲しいと思う
醜さ
辛気臭い映画。
韓国映画には一定の周期でこの手の映画に出くわす…。
醜さに対面する映画とでも言おうか、こおいうモノを提示したりすると魂のステージとか上がるのかしら?
作品の至るところに、妬みや嫉みの種がバラ撒かれてる。状況然り、台詞然り。
なにせ悔い改める材料に事欠かない。
寂れた農村で裸になって踊る姿には、羨望や挫折を感じはするものの、美しいなんて皮肉めいた言葉は出てこず、ただ哀れであった。
ミスリード
「単純過ぎてミステリーじゃないじゃないか!」という声もあるようだが、それは見事に監督に騙されている。
ベンがヘミを殺したというのはあくまでもジョンスの主観による筋立てでしかない。彼にはそう思えたから、彼の目線で進む(原作も一人称だ)この話はそう見えるように作られている。
ジョンスが最後に犯行を確信する猫のボイルのくだりについても、彼は一度もボイルを見ていないし、本当にヘミが猫を飼っていたのかもハッキリしない。あの狭い部屋で、彼は何日通ってもフンしか見つけられなかった。
トイレにあった腕時計にしても、ヘミが消えた後にジョンスが会うヘミの同僚コンパニオンが同じ腕時計を付けている。どこにでもある安物だ。
そもそも、ヘミとジョンス(および周囲の人)の記憶はことごとく一致しないし、ヘミは整形で顔も変わっている。となると果たしてヘミが、あの食堂の娘の「ヘミ」と同じ人物だったのかどうかも怪しくなってくる…あぁ、わけわからん!
なんなら全ては童貞文学青年の妄想か?ジョンスは最後の最後にしか実際に小説を書いているシーンがないわけだし…
と、そんな狐につままれたような感覚をこそ楽しむ映画だと思います。画面に映っているものをそのままではなく、蜜柑の皮を剥ぐように、そして一房づつ内容を解き明かしてこそ面白くなる。
リトルハンガーとグレートハンガー
連発される意味深な言葉の数々に注意しながら追っていたけど、かなり分かりやすい比喩と捻りなくストレートな話の展開で少し拍子抜け。
ここから面白くなるのか?というポイントがいくつも出てきては、その度にことごとく裏切られて残念な気分だった。
社会的底辺な二人と自分が少し重なり、ギャツビーなベンに向けるジョンスの微妙な目付きに共感。
ただ、ヘミの部屋でのジョンスの行動がだいぶ気持ち悪くて、それ以来彼へ寄り添う気になれず。
いやまあ分かるけどさあ…普通に気持ち悪いです。
ジョンスのキツい家庭状況やヘミの孤立加減を表す描写の居心地の悪さは好き。
特に想像を絶することのないラスト、結局は同じ穴の狢だとも思えた。
結末のその向こうを想像するしかないけど。
印象的なフレーズの多い作品だった。
無いことを忘れる、何の価値もないビニールハウスを燃やす、女のための国は無い、リトルハンガーとグレートハンガー、ベースを感じる、井戸に落ちる、など。
それぞれの意味を探ってみるけど、物語自体への興味がかなり薄れてしまうと何だかどうでもいい気分にもなってくる。
ただ、簡単に忘れることもできなさそう。
何だかんだ頭に焼きつき自分に刺さってくることも。
ヘミやベン、そもそもこの映画内で起きる事や在るもの全てがジョンスの小説なんじゃないかとか、様々な存在に疑問を感じさせる作り。
映画という創作物に日常的に触れて寄りかかっている身としてはなかなかキツかった。
お腹が空いたところから人生の意味を問い出す、というのは何となく理解できる。
鑑賞後、この映画へ向ける感情の行き場のなさとなんとも言えないポッカリ感は、やたらと「無い」や「消える」ことを強調していた作品自体の意図にハマってまんまと手の内に入ってしまったことになるのかな。
何にしろ、特に楽しめなかったのは事実。
タバコの灰皿代わりの紙コップに唾液を垂らすのが一番衝撃だったかもしれない。
あとヘミの可愛さ。ミューズ的な撮り方は苦手だけど。
白い煙が
原作は未読です。
暗喩的な台詞が多く謎があるストーリーですが、主人公の視点で、日常生活の中で不穏な疑惑が膨らんでゆく様子には引き込まれました。
明確な説明や解答は示されず、何を信じるかどう判断するか、主人公と同じように考えさせられます。
どこか途方に暮れたような風貌の主人公は、若者の漠然とした不安感や孤独感が滲み出ているような、垢抜けない雰囲気と言いますか、モッサリ感が絶妙で素晴らしい思います。
エキセントリックで奔放ながらどこか脆さもあるヒロインや、紳士的な物腰の中に不穏さを垣間見せる謎の男も、各々に見事な存在感のある演技でした。
富裕層との格差、華やかな都市と寒村との対比といった社会的背景を示す細かな描写も、説得力があります。
主人公とヒロインが男に誘われ富裕層の若者達と酒を飲むシーンがありますが、その場での主人公の居心地の悪さに、彼らとの格差、断絶感、異質感を痛感させられるような、個人的にはかなり刺さるシーンでした。
ポスターに衝撃のラストなどと書かれていますが、展開としては途中で予想は出来たので衝撃という程ではないと思います。
しかし、鬼気迫る長回しのクライマックスは印象深いものでした。
雪の中の全裸というのは、映像的に衝撃ではありましたが。
冒頭の白い煙と相対するようなラストの黒い煙が、主人公の変容を示しているのか、漠然とした不安が明確な怒りに変容したのかと感じました。
ヒロインのことだけではなく、境遇や社会など全てへの怒りなのかと。
長いしつまらん
まずミステリーじゃないな
そんで衝撃のラストでも想像を全く超えてもこない
この作品を絶賛している人は、自分を頭いいと思っていてそれに酔っているのではないか
意味深なシーンを長々と流して、何の意味も含ませない雰囲気映画の金字塔になりうる作品だ
伏線は伏線として機能しているのに、回収の仕方が下手過ぎるんじゃないかと
説明不足とは言わないが、映像だけで魅せすぎて言葉が少なすぎる
物語の解釈も人それぞれで多様性があるといえば聞こえはいいが、ミステリとしてのストーリーを思いつかなかっただけなんじゃないかと思えてくる
終始暗いシーンで一辺倒ですし、どこかに山場があればまだマシだったのかなと
あと単純に長い。
役者さんたちの演技は素晴らしかった。
時間を半分以下に編集しなおしてもっかい作りなおしてほしいとは思う
総評。つまらんかった!
こ、これが傑作?
監督作品は、ペパーミントキャンディ、オアシス、シークレットサンシャイン、ポエトリー総て観ているが段々パワーが萎えている。作品に力がない。ペパーミント、オアシス、シークレット辺りは観ていて嫌になる程の力があった。賞を取るならば過去の栄光を表彰するだけのもの。
やはりネタは、あれか。
アフリカにボランティアに行く金持ちのベン、何か動機があるはず。彼のゼイタク生活の資金はどこから出ているのか。マリファナ吸わせて裸踊りさせてジョンスから娼婦と罵られるよつに仕向け、ヘミを孤立させる目的は。そういうことだね。結局ヘミは殺されてなどいない、という監督の仕込みがわかる。面白いメタファだらけだ。
待ち受ける衝撃のラストは想像を絶する程ではないけど
テレビ版を見てから見るとおそらくなぜ彼女は消えたのか、彼らの関係はなんだったのかが分かってより面白いんだと思われる。
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映画だけ見てると、これってえーっとなんだったっけ??寂しい男の一人エッチ記録?いやいやミステリーか一応ってだれてくるんだよなぁ。
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結局、知り合ったベンの言うビニールハウスを焼くのが趣味っていうのは女を殺すのが趣味っていうことで、ベンはへミのこと殺してたんだよね。
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そのビニールハウスの話を聞いてる時、整形って英語でplastic surgeryって言うじゃん?そんでへミ(だけに限らず殆どの韓国人女性)は整形してるじゃん?だから"ビニール"ハウスである必要があったのかなと思ってた(笑).
まずはウンコの自己紹介。実は幼い頃、汲取り式便所に落ちたことがあります・・・(恥)
小説家を目指すフリーターのイ・ジョンス。父親が公務員に暴行を加えた罪で裁判にかけられ、家には誰もいなくなったために実家へと戻ることになったが、偶然にもキャンギャルをしていた幼なじみのヘミと出会い、運命が変わってゆく。「整形をしたからわからなかったでしょ?」とジョンスに問いかけるヘミ。井戸に落ちたのを助けてくれたジョンスを好きだったのに、唯一声をかけられたのが「ブス」という言葉。しかし、ジョンスは何も覚えていない。
パントマイムを演じて、ミカンがないことを忘れること。存在そのものを否定して、且つ欲っしないと伝わらない。哲学的な命題のようでもあり、箱の中の猫みたいなロジカルな会話を楽しんでる少女にも見えるヘミ。アフリカ旅行に行く間、ボイルという名の猫の世話を頼まれたジョンスは必然的とも思える展開で彼女と体を重ねる。初めての経験だったようにも思えたジョンス。毎日のように彼女の部屋へ通うが、猫の姿は見つけられない。さらには愛おしさのあまり、部屋では自慰を繰り返す。
旅行から帰ってきたヘミはアフリカで知り合った韓国人男性ベンをジョンスに紹介する。奇妙な三角関係の始まりだった。リトルハンガー(食の空腹者)、グレートハンガー(人生の空腹者)との違いを熱弁し、アフリカの部族による踊りを披露する。ポルシェを乗り回し、ギャツビーと呼ばれる謎の富裕層だったベン。一方、ジョンスもヘミも金のない貧困層の若者という構図がある。しかし、それをうらめしく思ったり、格差を打破しようとする意志も熱意もないのだ。小説家志望であるが、言葉にぶつけることもない。ただヘミに対する思いだけは熱くなっていくのだが、「ヘミに近づくな」とも言えず、「愛してるのかもしれない」とつぶやくのみだ。そして妄想だけが膨らんでしまう。
サスペンス部分としては、「ビニールハウスを燃やす」というベンの特異な趣味が、「女を殺す」のではないかと疑ってしまうところ。観客もジョンス目線で追いかけるため、燃やされたビニールハウスを探すと同時にヘミが殺されてるのではないかとストーリーを追う。ベンのマンションのトイレにあった、不自然な女性用化粧品やアクセサリー。燃えたビニールハウスが無いとわかり、やはり殺人なんだと確信に変わるジョンス。後半のカメラワークは明らかにジョンス目線に変更させるほど作為的だ。閉塞感、猜疑心、彼の思いが熱く伝わってくる・・・
ベンは実際に殺人犯だったのか?といったことは全て観客に委ねられるが、ラストにおける破壊的な暴力は明らかにジョンスが行ったもの。父のDNAを受け継いだかのように編集され、また、序盤に映し出される多数の飾られたナイフの映像が蘇ってくるのです。
魂が解き放たれるくらい虚しさが残るラスト。妄想が膨らみ過ぎたのも小説家の卵ならではだったのかもしれないし、どうにもならない格差社会から生まれた空虚感のせいかもしれない。北朝鮮の南向けプロパガンダ放送、テレビから流れるトランプの言葉、中国人の金に対する侮蔑といった話題、全てがジョンスを無気力人間にしてしまったのかもしれない。難しい内容ながら、眠気が一切来ないほど考えさせられた。ただ、最後に考えたのは、ワンカットだったためにあのポルシェは本当に燃やしているのかな?ってことだった・・・
主人公の複雑な思いがミステリーを追い越した
深い余韻に浸った。真実をすべて語らないこと、それも映画の一つの在り方だと思う。
主人公のイ・ジョンスは一人で生きている。父親は公務員に対する傷害罪で裁判中で、母親は何年か前に家を出たようだ。ジョンスの幼なじみのヘミはカード破産し、家にも帰れず、日銭を稼ぎ孤独に生きていた。そんな二人が再会し惹かれあった。
セレブで謎の多いベンの登場により物語がゆったりとうねり始めた。
ヘミの失踪〜ベンに対する嫉妬〜疑惑の増幅〜両親、社会、そして何より自身への絶望……ほとんどが一人称の展開ゆえ真実に近づけぬまま、いつのまにかジョンスと同化しクライマックスへ向かっていた。
ディテールを丹念に積み重ねてジョンスの複雑な思いを納得させていく手法。長尺には必然性があった。素晴らしいと思う。
久しぶりに鑑賞した韓国映画だったが、今年の外国映画のベストの一本だろう。
整形、パントマイム、猫、井戸、ビニールハウス… ない事を忘れること...
整形、パントマイム、猫、井戸、ビニールハウス…
ない事を忘れること
でも恋心は誰にも消せなかった。
そして韓国社会情勢を浮き彫りにする若者達
かなり面白かったです!
燃えているのは何
ジョンスの考えてることが痛いほど理解できてしまう… せつない。
偶然再会した幼なじみのヘミ、おそらく初めての経験から好きになってしまう。旅行から帰ってきたヘミの隣には自分が持っていないものを全て持っている男、ベンが…
自分ではどうすることも出来ない格差社会。嫉妬もあるだろう。穏やかで大人のベン、自分らを見下しているのでは?と卑屈になるジョンス。
「ビニールハウスを燃やしています」
真実かどうか事実は分からないのに1つの考えにひた走り衝動が押さえられず突き進む。
ヘミのダンスは『母なる証明』に匹敵するかも
ふたり
真面目すぎる愚直なジョンスと金持ちベンの対比が格差がありすぎて残酷でした。ヘミが居なくならなかったとしても、ジョンスとベンのふたりには何かの拍子で同じ様な事が起こったと思います。ベンは要らない人間を古くなったビニールハウスに例えているのだと思いますが、高級車であっても燃やされてしまうものは燃やされてしまいます。ジョンスの怒りは持たない者達の怒りを代弁しているのでしょう。貧乏人の怒りが凝縮された様な作品だったので、格差が拡大している韓国社会や支配層への批判を感じました。
☆☆☆★★★ 村上春樹の原作は未読。簡単に。 【自然界の闇と裏】 ...
☆☆☆★★★
村上春樹の原作は未読。簡単に。
【自然界の闇と裏】
作品全編で貫かれる《悪》の匂いが恐ろしい。
深く深く。ゆっくりゆっくり。ジワジワ〜っと真綿で首を締め付けて来る感覚。
前半での、ゆったりと展開される序章を楽しめるかどうかで、後半の狂気性の持続と。火薬が点火する一歩手前の状態及び、ラストでの一気の爆発を堪能出来るかと思う。
中盤でヘミが、いきなり服を脱ぎだす時に映る夕焼け空から闇の帳が迫る場面。
自然音と同時に。ゆっくりとカメラがパンをして、周辺を映し出す撮影の素晴らしさは忘れ難い。
また後半での追跡劇。都会のノイズと共に聞こえて来る不協和音の音楽的効果は、絶えずドキドキとさせられた。
確かにヘミは存在していた。間違いなくこの男が怪しい。でもそれを証明する手立てが無い!
だから彼は決断する。その焦燥感と、目と鼻の先に《北》を控える土地の寂寥感。
間違い無く傑作では有るのですが、ちょっとだけ残念なところも。
例えばビニールハウスで有り。水の無い井戸で有り。また、彼が書き始める小説で有ったり、警戒中のパトカーや猫等。
数多くの映画的な記号や伏線が。観終わってしまうと中途半端に宙ぶらりんの状態で回収されずに映画は終わってしまう。
「マクガフィンだから!」…と言われて仕舞えば
こちらも反論のしようが無い。
ただ…マクガフィンが多すぎるとかえって逆効果の気もしますね。そこのところ…どうなんでしよう?
明確な答えや意味を求めてはいけないのかも知れませんが。
2019年2月4日 TOHOシネマズ流山おおたかの森/premiere
佳作です。
基本的な原作エッセンスに、「井戸」「不審な電話」など、春樹の他作品の要素も取り入れられていて、ハルキリミックスといった様相で、非常に見応えがありました。村上春樹の作品は主にアメリカ・ポストモダン小説のトレースであって、モダニズムの整合性や自己完結性から距離を置き、メタファーの迷宮をぐるぐる巡る眩暈感や、幾様にも解釈を施すことが出来る多様性が魅力です。だから、その解釈の多様性の幅をちょっと狭める様なラストの展開は違和感はありつつも、これも監督の解釈なんだなと思って、好意的に受け取りました。「エアジン」から「死刑台のエレベーター」への差し替えも、効果的でグッジョブです。
無いことを忘れればいい
このバーニングは、村上春樹とは違く感じるけど、深く、静かに、濃い霧の中に潜り込んでしまうような感覚は好きでした。
どこにも確信はないけど、どんどん疑惑は膨らんでいく。
主人公もヘミを追っているのか、自分の闇に落ちているのか分からなくてなっていく。
子供の頃、母親の服を焼いた時に感じた感情、触れてはいけない感情なのに、求めているかの様。
ビニールハウスを燃やす彼を見たいのか、自分がやってみたいのか、同化していくみたい。
自由で素直に生きるヘミへの感情も嫉妬の様にも感じる。
見てる私もどんどん引き込まれていくスリルを味わってしまった。
全115件中、81~100件目を表示