「「納屋を焼く」の別バージョンとして観よう」バーニング 劇場版 doronjoさんの映画レビュー(感想・評価)
「納屋を焼く」の別バージョンとして観よう
村上春樹の「納屋を焼く」が原作となっているが、短編を肉付けして膨らませたというよりは、モチーフを借りて1つの可能性を作り出したという感じである。
小説は映画を観る前に読んでおき、差異を探しながら観たほうが楽しめると思います。
(以下よりネタバレ含みます)
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私は原作を読まずに映画を観たが、序盤からわかりやすい伏線が出すぎで、先の展開が早い段階で見えてしまった。
先が見えているのに、各シーンが間延びしているため、テンポが悪い印象だった。
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その後、原作を読んでみたら違う発見があった。
小説では「納屋を焼く」が何を指すのかがかなりぼやかされている。
そして、小説の主人公は都会暮らしで孤独ではないし文化的素養も十分。
ジョンスからは、村上春樹の作品にありがちな主人公の要素(アーバンセンスがあり、醒めていて執着しない)が見事に消されていた。
一方でヘミの天真爛漫、超越的で適度な闇を抱える感じは小説以上に村上春樹のヒロインっぽかった笑
小説では「僕」と「彼女」は浅いつながりで、だから消えても騒がれない存在だった。
しかし、映画ではジョンスとヘミには特別なつながりが存在し、ジョンスも孤独で不器用だった。ヘミは消えてもプツンとはならない存在だった。
それであのラストに繋がっていった。
監督は登場人物が変わり、彼(ベン)が「観察」を誤る、現代韓国バージョンの「納屋を焼く」を映画では描いてみたかったのかなあと思ったら、腑に落ちた。
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