「「物言わぬ田舎娘にこそ用心すべきだろう」」イメージの本 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
「物言わぬ田舎娘にこそ用心すべきだろう」
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現在のポジションならば“映像作家”と称されるであろう、ジャン=リュック・ゴダール御大の作品であり、自分のようなユルユルで低思考の人間がレビューすべきことでないのは充分自覚しているので、内容云々はスルーする。勿論、政治的にも表現方法論も、自分より当然雄弁に語れる人が星の数ほどいることも承知している。自分が今作品を観て、かなりの内省点は、数え切れない程の意識の混濁と欠如である。所謂“寝落ち”だ。それはホンの2,3秒なのだが、まるでレコードの針飛びのようにぽっかりと抜け落ちていているのだが、そもそも構成がコラージュであり、物語というより監督の文脈を繫げるDJミックスの運びなので、穴自体、意識しないでも良いのかも知れない。ショッキング且つ象徴的な映像群と、難解で思わせ振りな意味深い言葉。ゴダールワールドを全身で浴びるという一種の苦行が、また言葉に出来ない位のリラクゼーションをももたらすのは、自分にとってなんと皮肉なことだろうと、感慨深いモノがある。イメージを再構築し、観客にぶつけるという行為は、人間だからこそ成しえる血の巡りの様なのかも知れない。
「悲しみ方が足りないから世界が良くならない」なんて言葉、自分ではトップクラスのパンチラインであった。
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