劇場公開日 2019年6月1日

  • 予告編を見る

「幸不幸は絶対ではないようだ。そう、不動ではないのだ。」誰もがそれを知っている はるさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5幸不幸は絶対ではないようだ。そう、不動ではないのだ。

2021年1月16日
PCから投稿

スペインの田舎の町。ブドウ畑とワイン。石畳の町角。年寄りが日がな一日、昔の栄光についての自慢話を繰り返す。二度と戻らなく過去に囚われてしまうのは老人の必然。そんな光景が演じられていた。取り返しのつかぬ過ちは歳を重ねれば笑い話に代わる。そんなことは現存の呆けた政治家みたいな人間の世迷言なんだ。ハビエル・パルデム演じるパコに途方もない同情を捧げたくなった。映画とは言え、現実にあちこちで起こっていることばかりだ。自己犠牲に代償はない。施された人たちはありがとうと言うだけで時がたてば感謝の気持ちは薄れていく。特に女はそれを絵に描いたように真夏の陽炎のように揺れながら時を過ごしていく。そんな女に惚れてしまった男の愚かな行動を見事に描いてはいる。がしかし、人生はそんなにシンプルではない。生々しい現実を一挙に飛び越えるほどの勇気をこの映画は与えてはくれないようだ。曖昧にしていいこと。そしてよくないこと。そんな境界線を越えなくてはならないのだから。現実には・・・・。

はる