「皆が知っているという怖さ」誰もがそれを知っている ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
皆が知っているという怖さ
ミステリーにとらわれ過ぎないように観て欲しい。
誰も知る由はないと思っていたはずが、知らなかったのは、当事者の相手だけで、他のみんなは知っていた。実は、その状況こそが、本当に怖いなと考えさせられる。
きっと、映画の誘拐に絡むストーリーはフレーバーで、物語の裏にひそむテーマは、いざ事件に向き合っても、知ってることについて、知らぬふりを押し通そうするコミュニティの性質や精神性のように感じる。
なにも、これはスペインの田舎だからということじゃないようにも思う。
日本の東京の、例えば、とある企業の中にもありそうな話だ。
学校で無くならないイジメも、こんな状況が背景にあったりしないだろうか。
まあ、よくあることだからと、見過ごしがちで、事が起こっても、可能な対応もとらず、罪悪感もない。
どこかの国で人権を無視した侵害があっても、他国の事だからと知らぬ存ぜぬが先に来て、ハッキリ具申も出来ないのも似たようなことかもしれない。
イラン人の監督ならではの視点だろうか。
誘拐に絡む登場人物の心の動きや、サスペンスの行方に注目し過ぎると、逆に置き去りにされてしまいそうなポイントだ。
視点を変えたら、身近にもありそうな話で、ああ、怖いなと思った。
コメントする