ピータールー マンチェスターの悲劇のレビュー・感想・評価
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暴力vs非暴力を描く、力のこもった残念作
2時間におよぶ長すぎる前置きの後、ようやくクライマックスが花開くかと思ったら、あっさりとエンディング。期待が大きかっただけに、残念な映画だった。
前置きの多くは、過激派が次第に排除され、法的には弾圧されるいわれのない、非暴力主義の集会であったことを強調するために費やされたが、あまりにもこの前置きは長すぎると思う。
王制打倒でも教会批判でもなく、ただ「一人一票」(ただし男のみ)を求める民衆。しかし、その描かれ方は、単に貧乏して集会しているという感じにすぎない。
一方、ふんぞりかえる国王、貧民を人間扱いしない判事など、支配者層(特権階級や資本家や法律家)の描かれ方もプロトタイプ的で、例えばナポレオン戦争後という時代背景を感じさせるものではない。
多数の人物を登場させたわりには、誰一人として満足に描かれておらず、歴史ドラマとしては深みが全くない。あたかも箇条書きされたキャラの設定書を読まされただけの印象だ。
テーマからすれば、事件後の展開も含めて、6時間くらいのTVドラマが妥当だろう。しょせん、2時間半の映画で描ける内容ではなかったのだ。
力のこもった、しかし、どこをとっても中途半端な作品と言わざるをえない。
垂れ流し
ナポレオン戦争の4年後、1819年8月6日にマンチェスターのセント ピーターズ フィールドで起きたヘンリー・ハント率いるマンチェスター愛国連合の大衆集会で起きた民衆弾圧事件「ピータールーの虐殺」とそれに至る話。
この出来事があったことは知っていたけどレベルで鑑賞。鑑賞後調べたたら公称では死者3名、負傷者15名とのこと。
悪政と参政権を巡り労働者階級で起きた小規模な集会を繰り返し蜂起する様子に治安判事達の腐れっぷりを織り込んでみせて行く流れ。
一つ一つの演説は熱く惹かれるものがあるし非常に面白いのだけれど、演説、演説、演説と治安判事達の会議等を繰り返し2時間近くみせられてダレてくる。
少しずつ進展して行くのはわかるけれどそこまで重ねないと行けませんかね?
残り20分、いよいよセント ピーターズ フィールドでの集会が始まるけれど、終わり方が唐突だし、民衆側のラストが記者達のそれだけって…。
90分ぐらいでみせてくれて、その後の記者達や世情のことをエピローグなり字幕なりで少しでも語ってくれたらね。
忘れてはいけない過去がある
イギリスの暗黒歴史
マンチェスターで生まれ育った
マイク・リー監督も知らなかったとか。
民主政治なのに民意が届かない
そのやるせなさをデモにぶつける人々
現状の苦境をなんとかしたくて
言われるがままピクニック気分で
デモに参加する労働者たち
英雄に多額の褒賞金を支払うのに
庶民の困窮には見て見ぬふりをする政府
俯瞰した視点で群像劇を見渡していく。
政治に民意がしっかり反映されているか
投票率の低さは何を意味しているか
我々個々に考えるきっかけとなる一本。
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2019.8.10 TOHOシネマズシャンテにて1回目
大好きな「プライドと偏見」と同時代の英国
底辺層の大いなる苦難があってこそ
片田舎の中流家族の恋愛沙汰が
成り立っていることを痛感する。
黒煙を吐き出す煙突に煤けた町中
当時の人びとの生活を
圧倒的なリアリティを以て再現
不満をぶちまけつつも
暮らしの向上を諦めかけている庶民を
言葉で鼓舞する活動家たちが勇ましい。
市民を顧みない権力の不気味さ
いつの世でもどこの地域でも
その可能性の種はいくらでもある。
踏み潰されたイギリス民主主義の萌芽
マイク・リーも今年(2019年)で76歳ですか。一作一作を大事に観ていきたいですね。
今作は「ピータールーの虐殺」の映画化。英国史に疎いのでやたら勉強になったし、素直に感動した。
1815年のワーテルロー(ウォータールー)の戦いに勝利しナポレオン戦争を終結させた英国だったが、国内では労働者たちが貧困に喘いでいた。そして1819年、困窮したマンチェスターの民衆たちは、貴族や富裕層のための政治を改革すべく大規模な集会を開くが……
集会に至るまでの労働者たちの思い、そして弾圧する側の思いをじっくりと描くことで、クライマックスの説得力が増した。
それにしても、たった200年前だというのに……民主主義から遥か彼方にあったイギリス。労働者に選挙権はなかった。
歯切れの悪い史実
前世紀のイギリス版天安門事件とでも言えばわかるか?
今の時代にこの映画が作られた意味…
特権階級・富裕層が政治を好きなようにし、全体主義がはびこり、庶民は国に仕えろと命令する時代。
国と為政者はイコールではないはずなのに、政権に逆らうことが国に逆らうことと問題をすり替え、国民を虐げる。
権力者による民主主義の否定は、イギリス、アメリカ、日本など、世界中で起こっている、という痛切な嫌味というか、危険な状況の指摘のために、この映画は作られたと思いました。
政治的メッセージ成分が多くて、重い。
この時の史実としては権力者勝利で終わったため、映画も歯切れの悪いラスト。
だから、エンタメとしては、つらいかな。
あほくさ映画、 hear, hear!
ラストの暴動のシーン、民衆の着ている服が真っ新さら、十数人が亡くなった暴動を描いている映画らしいが.........!
冒頭の簡易裁判のシーンでオーストラリアに流刑が決まるシーンがあることは、イギリス人の皮肉ったジョークか?
この映画、イギリスで起こった暴動を描いているらしいが、オーストラリアに流刑になった犯罪者たちが行った虐殺を描いたほうが面白い映画になったはずなのに......! 数十万のタスマニア人がイギリス人によってマンハンティングに会い、子供の指は、パイプの栓にされ、最終的には、一民族が全滅させられ、最後のタスマニア人の言葉、「私の遺体を山の陰にうめてほしい。」という遺言などさらさら構わず、わざわざ遺体を掘り起こし、博物館に展示した人達がわずか十数人のことにこだわるはずがない。
あのレベッカ・英里・レイボ〇ンのように嘘つきの国民性が表れている映画......。
その当時、フランスでは近代警察が確立していたが、イギリスでは民衆の警察への不信感から設立までには至っていなかったが、ビールより安くて、すぐに酔うことが出来るジンが大量生産できるようになってから、通称"ジン横丁"なるスラム街が誕生し、犯罪の件数がうなぎ上りになったことによって、しびれを切らした政府が、それまでは、警察らしきものはあったが、本格的に犯罪を取り締まるべく、近代警察が日の目を見ることとなった。
この映画はそのような裏の歴史を描かないで、民衆がなぜ暴動を起こさなければならなかったのかにだけ焦点を当てている。そんなことを踏まえれば、この映画全体がイギリス流のジョークなのか?
2時間半を返してくれとは言わないが、amazon.comではプライムビデオで配信中! ..........あほくさ~。
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