ジュディ 虹の彼方にのレビュー・感想・評価
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2時間の演技ににじむ40数年の栄光と悲愴
ジュディ・ガーランドは母親の意向で2歳から舞台に立っており、MGMとの契約後はダイエットのためアンフェタミン、副作用で眠れなくなると睡眠薬を常用させられていた。娘を商売道具としてしか見ない母親と薬物と、彼女の才能に相応しい扱いをしないMGMによってぼろぼろになった彼女の、亡くなる直前のロンドン公演の様子を描いたのがこの映画だ。劇中で精神的に不安定な彼女の様子が多く描かれるが、それもやむ無しと思わせるほどの過去がある。
子役時代のエピソードが回想シーンのように挟まれ、自由のないスケジュールや薬物を摂らされていること、MGM社長に小児性癖があることが暗示されていたが、冷酷な母親の描写は少なかった。冒頭で社長から、ショービズの華やかな世界で生きることと目立たない地味な人生と二択を迫られるシーンがあったが、おそらく現実にはこの段階で既に彼女には選択の余地はなかっただろう。
映画で描かれた時期に至る前の辛く重いエピソードの数々を漂わせる人間像を、レニー・ゼルウィガーは演じた。疲れと弱々しさを感じさせる猫背で不安定な立ち姿。舞台に立って歌いだすまでの、本当にちゃんと歌えるのかとはらはらさせる感じ。そして歌い始めたら一転して目に光が宿り、太い声で朗々と歌い上げる、生まれついての舞台人としての姿。
歌唱シーンが思っていたより多く、ミュージカル映画ではないが、ジュディ=レニーの歌をたくさん楽しめた。歌われるナンバーは明るい曲や励まされる歌詞の曲が多い。「虹の彼方に」のシーンは実話とのこと。この作品がただ悲しいばかりでなく、何故か力付けられる気がするのは歌の力によるところが大きいと思う。
ゲイカップルとのエピソードは、ジュディがLGBTに理解があり「虹の彼方に」がレインボーフラッグの由来になったため外せないが、あえて言えば母親の話と同様ちょっと端折ったかなという感じがあった。
何しろジュディの人生が盛りだくさん過ぎるので、晩年の生き方に繋がるエッセンスを入れた上で2時間程度に収めるには説明を多少端折るしかない。十分お腹いっぱいです。
The Woes of Stardom
Judy is last year's Respect. The story of Judy Garland, who's elegance was employed by an industry eager to the feed the entertainment needs of many, eventually leading to her drunken downfall. A sad tale of a female star in the same vein as the Amy Winehouse documentary. More dramatic and sad than what we would like to think of the real actress. I'd personally have liked to seen more optimism.
同情ではなく、ある種の憧れが
ジュディ・ガーランドの晩年を、まるで、魂を絞り出すように演じるレネー・ゼルウィガーのオスカー演技は当然、見応え充分。しかし、断片的ではあるが、ジュディの子役時代もそれ以上に見ものである。幼くして才能を見出され、MGMミュージカルのスターとして脚光を浴びる陰で、会社から睡眠薬と興奮剤を交互に与えられ、まるで歌って踊るAIのように扱われたジュディ。やはり会社の都合で本当の誕生日よりも早く宣伝用のバースデイ・パーティがセットアップされ、同じく人気子役だったミッキー・ルーニーとの楽しいデートまでが、PRに使われてしまうジュディ。すべては、彼女を徹底的に管理し、洗脳しようとするMGMの首脳、ルイス・B・メイヤーの"子役飼育手段"だったのだ。しかし、舞台袖でルーニーに手を引かれながらも、客席からの拍手喝采に本能的に惹きつけられてしまうジュディは、たとえどんなに辛くても、人々をハッピーにするスターという職業に生きがいを見出してしまった、神から選ばれし人。そこに、同情ではなく、ある種の憧れを感じてしまうのは、筆者だけではないはずだ。
レネイの人生に重なる要素も。子役ダーシ・ショウにも注目!
「オズの魔法使」の世界的ヒットで、十代にしてトップスターになったジュディ・ガーランド。だが後年は薬物・アルコール依存で生活が荒れ仕事を干され、借金苦で子供を元夫に預ける羽目に。そんな彼女が再起をかけて臨んだロンドン公演の日々を中心に、回想シーンを適宜挿入する構成になっている。
「ブリジット・ジョーンズの日記」や「シカゴ」で全盛を誇ったレネイ・ゼルウィガー。だが40代になると役が限られて評価が下がり、6年間の活動休止中には顔の激変も報じられ(美容整形が疑われた)、“終わった人”の烙印を押されかけた。そんな彼女が見事なカムバックを果たしたのだから、ジュディとレネイの人生と重ねて鑑賞した人も多いはずだ(「レスラー」のミッキー・ロークもそうだった)。
若い頃のジュディを演じた新人ダーシ・ショウは、子役時代のジェニファー・コネリーにも似て、無垢な美しさと大きな瞳が印象的。今後の活躍が楽しみだ。
伝説のジュディ・ガーランド
彼女は伝説だった。
彼女には才能があった。
黄色のレンガの道を歩き
いつしか虹の向こうの世界へ
スポットライト・薬・虚無
荒れた生活から会社をクビになり
それでも最後まで諦めず
映画「スタア誕生」で復活
再び脚光を浴びるが…
すでに人生は狂っていた。
物語は彼女の最後の時を描く。
圧巻は最後のステージ。
伝説は変えられない。
事実も変えられない。
真実は分からない。
それが悲しい。
伝説の中のジュディをレニー・ゼルウィガーが演じた。体の傾け方、唇から頬にかけた表情、瞳の中の光と闇、映画の中の彼女はジュディ・ガーランドだった。それほどレニーの演技は賞賛されるべきものだった。
夢見るドロシーは幸せだったはず。
※
ジュディが亡くなった5年後、MGMから同社の黄金期を作ったミュージカルの集大成となる That's Entertainment! という映画が公開された。ここでのジュディの扱いは特別で、絶賛され記憶に留めるべき存在の位置にいた。出演していた娘ライザは「ママは黄色いレンガの道を、どこまでも夢に向かって歩いていたのよ」と語っていた…。
※
一大スターの光と影を描いた傑作だ。
抜群の歌唱力で、ハリウッドを代表するスター女優となったジュディ・ガーランド。映画会社MGMは契約上、強制的なダイエットを強要し、覚醒剤(アンフェタミン)を常用させた。
劇中では、製作会社MGMの共同創始者で、絶対的な権力者ルイス・B・メイヤーが、ジュディを子役時代から、精神的にも肉体的にも支配下に置いたことや、彼女が薬物や飲酒に依存し、遅刻癖を繰り返した点も触れている。
また、ジュディは1960年代には珍しく、同性愛者に理解を示したスターの1人だった点も触れている。おそらく架空の人物と思われる、ゲイカップルのファンの家に寄るというくだり。
本作は、大スターへの、愛情をこめた温かい献辞であるとともに、子役時代から搾取されたスターの、自分や家族を犠牲にした、生々しい舞台裏の実録ドラマでもある。
キャストでいうと、ジュディの案内役を演じたジェシー・バックリー。「刑事モース」(若モース)の「消えた手帳」あたりで注目してました。好きな女優さんの1人です。
とにかく、レネー・ゼルウィガーの熱演に尽きる。彼女の存在なくして本作は成り立たなかった。47歳で薬物の過剰摂取で亡くなったジュディ・ガーランドの、最後に花咲いて散っていく姿を、見事に描ききった傑作と思う。
スターならではの苦悩と戦い
「シカゴ」で、歌える女優だと知っていたけど、今もこんなにも歌えると...
信じられる人、助けてくれる人は...
頼れる・信じられる人は私生活、近しい人におらず、むしろ遠い関係性のバックバンドや、観客、最後のマネージャーだった。この対比が強く伝わってきた。
コロナ直前の2020年のアカデミー主演女優賞受賞後、コロナ禍を経てやっと観ることができた。
観ようと思えばいつでも観られたのだが、自分の中で2020-2024年の時間が繋がり、ここからもう一度生きて行こうと感じられた。
レニーの凄さ!!!
子役の代償
落ちぶれていく姿
本人が取れず演じたレニーがオスカー。何と皮肉な…
さすがはアカデミー主演女優賞受賞演技
孤独なスーパースター
ジュディ・ガーランド。表舞台から離れ、子供達と一緒に過ごし、良い母親になり、いい家庭を持つ。そんなごく平凡な願望を実現しようと、エンターテイメントの世界で、もがき苦しみ、その環境から抜け出したくても抜け出せれない彼女の切なく切羽詰まる晩年の人生を、非常に上手く描いた作品だと思いました。全体を通しては単調なんだけど、ジュディの希望が少しずつ崩れていく最後にはボロボロになっていく彼女の心境が激しく伝わってくるような感じがしました。
そんなジュディ・ガーランドを演じ切るレニー・セルヴガー。素晴らし過ぎるパフォーマンスの一言。「ブリジットジョーンズの日記」でしか彼女を知らなかった私。あの時の愛くるしい、かわいい彼女を一欠片も感じさせない演技。もう....言葉にできません。演技派女優の異様なカリスマ性をビリビリ感じました。今までの彼女の作品も観たいし、もちろんこれかの彼女も大注目です。
愛するより愛されろ
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