「古き良き無知な時代の暴走と夢」ジュディ 虹の彼方に ke_yoさんの映画レビュー(感想・評価)
古き良き無知な時代の暴走と夢
ジュディのことも、オズの魔法使いですらもよく知らないで鑑賞。いや、もちろんお話としてのオズの魔法使いは知っているけど、ジュディのオズは知らない。
成長期の子供にまでにあんな食事制限や長時間労働を強いたり、睡眠不足の訴えを無視したり、というかあんな粗末な寝床で仮眠を取らせるだけとか、何の薬か説明もせずに素人が薬を与えたり、半ば脅迫のような言葉で巧みに自己判断のように仕向けたりと、過去のシーンが映るたびに、あまりに無知すぎる時代のショービジネス界の闇と暴走に恐怖を覚えた。
しかし、だ。
あの時代の闇には現代となってはあり得ないほどの強い光も差すのだ。娯楽が少なく人々が文化文明の発展に今よりも熱量を持っていた時代、どんなに闇であろうが、成功すれば大スターになれた。
ただの女の子も、不良の男の子も、世界中が夢中になるほどの大スターになれた。
現代は選択肢が増え過ぎて、あの頃ほどの強い光はもうないように思う。
一般人にも知識が増えたし、調べることも容易くなり、法整備も相まってあのような闇に陥ることは少なくなったかもしれないが、同じように娯楽も増えて、光は小さくなるばかりだ。
その点ではジュディの生きた時代というのは、いわゆる古き良き時代なのだろうと思う。
もし現代ならバツ4で薬物中毒の時点でもうスキャンダルと炎上で這い上がれないかもしれない。
危うい場面も含めて、ステージのレネーが放つその強い光が、眩しくて、輝く笑顔に泣けた。
この作品は特撮とかCGとかアクションみたいな派手はシーンはないけれど、劇場の大スクリーンで観た方が感動すると思う。良いステージを観たような気持ちに、レネーがさせてくれるから。
なるほど。と思いました。グローバル化はつまらない。ちっちゃくまとまっちゃうのも。生バンドの音が良かったですね。音楽映画は大きめの映画館のほうが得した気分になれますね。