「ロサンゼルスらしい物語」アンダー・ザ・シルバーレイク ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
ロサンゼルスらしい物語
この映画の舞台であるロサンゼルスに住んでいたことがあるが、本作を観て懐かしい感慨を覚えた。イカれた物語だと思われるかもしれないが、ロサンゼルスは実際にイカれた街だし、イカれた人間がたくさん住んでいる。本当にああいう街なのだ。奇妙奇天烈な物語だけど、とてもリアルだ。
本作はたくさんの引用があるので、参考にできる作品はいくつもあるが、わかりやすい対比ができるという点で、『ラ・ラ・ランド』は観ておくといいだろう。ロスは年中太陽の出ている街で光にあふれている。光があれば影もできる。『ラ・ラ・ランド』は光で本作は影だ。それを端的に示した構図もいくつか見られる。
もう一つはトマス・ピンチョンの『LAヴァイス』だろう。多くの引用からなるロスを舞台にしたミステリーものという点で本作の先輩のような作品だ。ロスは多くの探偵ものや刑事ものの小説を生んでいる街だ。犯罪の闇とハリウッドの光の落差があの街の魅力なのだ。
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