「二人の艦長の対比も映える」ハンターキラー 潜航せよ talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
二人の艦長の対比も映える
<映画のことば>
「艦長、仕事に戻らねば。」
「私も。」
「私は他に知らない。君のような豪胆な艦長を。」
「いえ。私の目の前にいる。」
ひょんなことから「捕虜」にした敵艦の艦長を案内人に仕立てて、敵陣を突破する―。
お互いに、軍隊という戦争のための組織に所属する者同士でありながら、戦争を回避するためには、敵・味方の区別なく、一致団結するという姿には、素直に感銘も受けます。
実際には「ありえへん」ストーリーなのでしょうけれども。
しかし、そこを違和感なく味わえるというのも、映画作品ならではの楽しさともいえそうです。
叩き上げのロシア艦・ヴォルコフの老練な艦長と、軍人としては兵卒からの叩き上げながら艦長としては新任(昇任)ほやほやのアメリカ潜水艦・アーカンソーの若手艦長という彼我の対比という対置構図も、よく映(は)えていて、面白かったと思います。
それでも、アメリカ潜水艦タンバ・ベイに撃沈されたとみられていたアンドロポフ艦長の潜水艦ヴォルコフの遭難を、たった一枚の写真から内部テロの犯行と見破ったのは、潜水艦の艦長としてのキャリアの浅さはさて措いても、やはりジョー艦長の軍人としての下積みのなせる技だったのでしょう。
本来は「敵側」の立場であったはずのロシア艦のアンドロポフ艦長の協力を取り付けられたの
も、実は、アンドロポフ艦長も、同じくキャリア出身ではなく、一兵卒からの叩き上げたったからなのではないかと、想像も膨らみます。
そんな点でも、本作は、楽しめる一本でした。評論子には。
本作は、評論子が入っている映画サークルの話会(映画を語る会)で「スカッとする映画」というお題で、話題になった一本でした。
評論子的には、観終わって別段スカッとした感慨もないのですけれども。
しかし「潜水艦ものにハズレなし」という(評論子こ中の?)不文律は、今回も破られることがなかったことは、嬉しくも思います。
充分な佳作とも、評しておきたいとも思います。
