劇場公開日 2019年4月12日

  • 予告編を見る

「戦場の男に言葉は要らない」ハンターキラー 潜航せよ aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5戦場の男に言葉は要らない

2019年4月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

興奮

いやー、いいですねぇ。叩き上げの軍艦乗り、軍人の魂、敵味方を超えた共感。昔々「コンバット!」で目覚め、松本零士の漫画で刷り込まれた、これが最前線の男達の姿なのだ。
陸戦だと、ひとりのヒーローが、悪い敵をやっつけるというのが多いが、船はチームで闘う。特に潜水艦は閉鎖環境で、さらに人間は無力な海の中だけに、余計に性格が際立つ。そこでの人間関係や、個性、絆などが、物語に深みを与える。

本作の設定は、いささか現実離れもしているけど、そんなことは脇に置いて、この戦いの物語を満喫すれば良いのだ。最前線で銃火を交える男達には、言葉は要らない。ジェラルド・バトラー演じる歴戦を経験した主人公、ジョー・グラス艦長。敵の潜水艦艦長であるアンドロポフ(ミカエル・ニクヴィスト)。二人の静かな探り合いと、アイコンタクトでの会話が、なんとも緊迫感を感じさせる。
さらに、周囲が見えない潜水艦の中で、岩場や機雷の間を縫って、微妙な操船で巨艦を操る緊張感。息を潜めていないと敵に見つかる。見つかれば爆雷や魚雷で、ただでさえ水圧に押しつぶされそうな水中で、激烈な衝撃を受ける。鋼鉄は軋み、水が吹き出し、火事も起こる。クルーは恐怖と戦いながら、命令を遂行する。命を艦長に預けて。
派手なドンパチも楽しいけれど、この手の信頼や友情をベースにした戦争ものは、深層意識をくすぐる。そういえば、個人的なベストワン戦争小説「女王陛下のユリシーズ号」は、そろそろ映画化されないのだろうか。絶対泣きます。

ミカエル・ニクヴィストさん、一昨年亡くなってたのですね。知らなかった。遅ればせながら、ご冥福をお祈りします。

AMaclean