「児童小説が原作だからね。期待し過ぎは禁物」若おかみは小学生! つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
児童小説が原作だからね。期待し過ぎは禁物
巷での評価も高く、大人も観られる作品だとの良い噂も聞いたので観ることにした。
よくまとまった良い作品だと思った。
しかしそれはあくまで子ども映画としてだ。
ああするべき、こうするべきと改善点等をたくさん書き連ねることもできるが、自分から子ども向け作品に首を突っ込んでおきながらダメ出しするのも筋違いだと思うのでやめておく。作品は何も悪くないのだから。
だけど、私と同じような犠牲者を出さないためにも書いておかなければならない。
本作はギリギリ大人の鑑賞に耐えられる程度の本格的子ども映画だ。
朝とか夕方に地上波で放送しているファミリーアニメーションなどの感覚で観るなら本当によく出来てる。
それ以上のものを求めるならば観ないほうがいい。
つまらないレビューになってしまったのでどうでもいいくだらないことを書き足そう。
ある宿泊客とのエピソードで、おっこは彼を満足させるために己のプライドもかなぐり捨ててライバル真月に助けを求める。
「お客様に満足してもらう方が大事だもん!」と奔走するおっこ。接客を生業とする旅館業とはいえ、おっこの行動は小学生でありながら完全に資本主義を内面化している。
「すべてはお客様のうまい!のために」を地でいくほどの情熱。それは言い換えれば資本主義経済に何の疑念も抱かない経済活動の権化だ。
「お客様の喜ぶ顔が見たい」というささやかな幸せを大幅に越えるほどの、強迫観念に近い「顧客第一主義」がさも当然のように描かれることに、違和感はなかっただろうか。
おっこが過剰とも言えるほどのサービスを提供する姿を、幼い子どもたちにさも美徳のように刷り込む一連のシーンは、もはや「資本主義のプロパガンダ」と指弾されてもおかしくない。
と、妻が私に語った。頭にはてなマークが浮かんだ。子ども映画で熱く語りすぎだろ。