「【”春の屋の温泉は誰も拒まない、総て受け入れる・・。”突然、両親を喪った少女おっこが、祖母が経営する温泉旅館「春の屋」で懸命に働き、幽霊や、曰くある宿泊者との関係性の中、成長していく姿を描いた物語。】」若おかみは小学生! NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”春の屋の温泉は誰も拒まない、総て受け入れる・・。”突然、両親を喪った少女おっこが、祖母が経営する温泉旅館「春の屋」で懸命に働き、幽霊や、曰くある宿泊者との関係性の中、成長していく姿を描いた物語。】
■突然の自動車事故で両親を亡くし、奇跡的に生き残った小学生おっこが、おばあちゃんが経営する温泉旅館「春の屋」に住むことになる。
しかし旅館には若き日のおばあちゃんと深い関係に合った、幽霊のウリ坊も住んでいた。
おっこは彼のお願いで旅館の若おかみとして修業を始め、様々な事情を抱えつつ、「春の屋」にやって来た客と接する事で成長していく。
◆感想
・おっこが突然の自動車事故で両親を喪い、祖母の営む温泉旅館「春の屋」に住み込み、ウリ坊の願いもあり、深い哀しみを抱えつつ、祖母を助けようと奮闘する姿。
ー 深い哀しみを敢えて直接的には描かず、おっこにとっては両親が生きているかのようなシーンを挟み込む哀しき巧さ。特に布団の中でのシーン・・。-
・おばあちゃんと、昔友達だった、ウリ坊(誠君)が、お婆ちゃんを気遣いながら、おっこに”「春の屋」の女将になってくれよ‥”と頼むシーン。そして、ウリ坊(誠君)の姿は、生死を彷徨ったおっこにしか見えない設定の妙。
■”春の湯の温泉は、誰も拒まない、総て受け入れる”。と言う作品スタンスも良い。
春の湯を訪れる数々の客。
それは、母を亡くした男の子と父であったり、占い師でありながら、彼氏に振られた女性であったり・・、そして最後に訪問したのは、彼女の両親を哀しき事故故に死に至らしめてしまった運転手の家族であった・・。
だが、この作品では「春の屋」の人々は、宿泊客に出来る限りのおもてなしをするのである。
・おっこにしか見えない、幽霊たちも魅力的である。
ウリ坊(誠君)が、且つて好きだったお婆ちゃんを気遣う姿。温泉街を牽引する旅館の娘”ピンフリ”の亡き姉ミヤ。ソシテ、土鈴の化身“鈴鬼”のキャラ立ちも良い。
<両親を亡くしながらも懸命に日々を過ごすおっこが様々な幽霊や、事情をお抱えたお客さんとの、出会いと別れを経て成長していく姿が素晴しい。
そして今作は、子を持つ親には、特に響くモノがある素敵な物語なのである。>
■今作の脚本を手掛けた、吉田玲子さんの手腕が、見事に発揮されたと思った作品でもある。