「小学生向けのハートフルコメディだと思っていたら『ミッドサマー』ミーツ『シックス・センス』&『ハロー!?ゴースト』のような極めて残酷な宗教的テーゼに貫かれた骨太な成長譚でした」若おかみは小学生! よねさんの映画レビュー(感想・評価)
小学生向けのハートフルコメディだと思っていたら『ミッドサマー』ミーツ『シックス・センス』&『ハロー!?ゴースト』のような極めて残酷な宗教的テーゼに貫かれた骨太な成長譚でした
傑作だという評価だけを頼りに全く何の情報を持たずに鑑賞しましたが、これは衝撃的な傑作。このタイトルからほのぼのしたコメディを勝手に想像していましたが、『ミッドサマー』の主人公ダニーが遭遇した悲劇と同等の出来事が展開する冒頭で頭が真っ白になりました。それゆえに主人公のおっこが寂しそうな表情は時折見せながらもあくまで気丈であることに激しい違和感を覚えます。おっこは自身の臨死体験を契機に『シックス・センス』のコール少年と同じ霊能力を獲得、しかしおっこはその能力を使って『シックス・センス』とは逆に、様々な悩みや葛藤を抱えてやってくる春の屋の宿泊客の魂を解放していきます。
“花の湯温泉のお湯は、誰も拒まない、すべてを受け入れて癒してくれる“というセリフが劇中で何度も繰り返されますが、これは極めて宗教的なもの。それはおっこを試すかのように更に過酷な運命を引き寄せる。終盤のこの展開はとても児童文学シリーズが原作とは思えない残酷極まりないもの。なぜ彼女がここまで追い込まれなければいけないのかという思いに胸を掻きむしられた後に訪れる展開もやはり極めて宗教的なもので、映画を観ている観客の魂をも浄化するもの。エンドロールが流れる中で観客の拍手が巻き起こったのが印象的でした。
新宿東口映画祭にて鑑賞。朝イチ上映に集ったのは20名弱の30〜50代のオッサンばかり。その全員が目を真っ赤にして鼻を啜りながら退場していく様は傍目には相当異様な光景だったと思います。
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