「パヤパヤ、パヤパヤ」ゾンからのメッセージ KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
パヤパヤ、パヤパヤ
「ゾン」という耳馴染みの無いワードだけでどこか不気味なものを感じる。
20年まえから街を覆うバリアーのようなもの。
これを宇宙や田舎の閉塞や見て見ぬフリをしている問題などに置き換えてみても、そのままSF的に得体の知れないバリアとして受け取ってみても何だか恐ろしくなる。
フィクションとノンフィクションが入り混じってくる謎構成や、辻褄が合わなかったり意図が不明な部分もチラホラ。それも含め受け止めて楽しんでね、ということかな。
ゾンを越えてみるか留まるか、向こう側はどうなっているのか、そもそも何なのか、自分ではその存在をどう捉えているのか…という本筋は案外シンプルな気もする。
「私だったらどうするか?」と考えると結構難しいもので、夢問町の住人になったつもりで観てみると面白い。
誰がどんな選択をしていくのか、その先にたどり着くところとは。
楽しい!という感じではなかったけれど色々と興味深かった。
最後、二宮の行動にドン引きしているおばさんが一般人なのか演者なのかとても気になる。
bar湯の二人が付き合っていたらいいのに。
終始チラチラとノイズのようになっている空の映像がとても綺麗。
シネカリグラフィーという手法を初めて知った。タイトルとエンドロールが手描きで手作りというのも驚き。
「海に浮かぶ映画館」にて鑑賞。
シーンにリンクするようにガツンと衝撃が走りユラユラと揺れる環境のナチュラルな4DX感に一々ビビッてしまい、内容の気味の悪さとその場の不安定さが重なって貴重な体験ができたと思う。
作品内でも海は重要なキーワードで、海の上で観るためにつくられた映画なんじゃないかとすら思ってしまった。
アフタートークにて演者さんが「会場全体が瓶の中のようだ」と言っていたのが印象的。
独特な演出と特殊な会場と内容は興味深く観られたけど、上映時間117分が体感で180分ほどに感じた。
ここで終わりかな、というところで続く続く。
海に浮かぶ映画館で観なくても今回のように色々細かく楽しめるかといわれると、正直分からない。パヤパヤ、パヤパヤ。