「子供のような大人」騙し絵の牙 眼鏡おじさんさんの映画レビュー(感想・評価)
子供のような大人
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予備知識ゼロで観賞させていただきました。
一時代を築いた社長の急死による権力闘争に揺れる出版社で辣腕を振るう雑誌編集長・速水(演:大泉洋さん)が印象的でした。
人懐っこい笑みを浮かべながら相手の懐に飛び込み、言葉巧みに誘導しては自身の利益に繋げる…保守的な出版業界を水を得た魚のように泳ぐ速水の姿に爽快感を覚える一方、部下(演:松岡茉優さん)の功績を盗む姿には違和感を覚えました。
物語の進展と共にその違和感は大きくなっていき、速水が勧善懲悪の体現者などではなく自身の利益のためならば『売る』ことに躊躇がないサイコパス的な人物として描かれる点がユニークだったと思います。
終盤、ビルの屋上で速水がコーヒーの入ったカップを床に叩きつける姿を目にして、まるで漫画『機動警察パトレイバー』の悪役『内海』のようだなと感じました。ゲームの駒のように周囲を利用して享楽に耽るものの、いざ自分が部下に出し抜かれるとゲームに負けてコントローラーを叩きつける子供ような癇癪を起す。
子供のような大人、速水…とても魅力的なキャラクターでした。
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