劇場公開日 2021年3月26日

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「面白さを追求する時代へ」騙し絵の牙 三輪さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0面白さを追求する時代へ

2021年4月19日
iPhoneアプリから投稿

企業の中の派閥争いのようなものがあって、騙しに騙して進んでいく軽やかさは、テンポが良くてたちまちラストまでもって行かれました。どんでん返しの応酬です。昔は修行して深くないものは、評価に値するものでないという価値観が王道でしたが、新しい世代が、楽しいこと、面白いことにシフトして行っている世の中に変わりつつあることを、強く連想させる作品でした。大泉は面白いことであればなんでもあり、というタイプです。しかも用意周到でのなんでもありなのです。確かに出版業界も激変しています。編集の仕事も様変わりです。自分のことですが、出版、記者、広報の世界に携わってきたものとしては、複雑な気持ちです。細かい作業は変わらないとしても、電子化の波は全てを変えています。それは面白いことを瞬時に得たいという欲望に答える姿で進化してきています。それでもなお生き残るのは、画期的な面白さを先鋭化した人たちだけなのでしょうか?そのことを肌感覚として感じました。いずれにしても新しい世代の人たちが、喜び、面白さを感じてに幸せになって行く時代をこれからも見ていきたい。最後に中村と松岡の二人もとても良かった。

三輪