「問題に対する作品の誠実な姿勢に拍手」騙し絵の牙 トラヴィスさんの映画レビュー(感想・評価)
問題に対する作品の誠実な姿勢に拍手
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出版業界が抱える様々な問題にきちんと納得出来る提案を作中で示しつつ極上の企業エンタメに仕上げる手腕。凄い!
個人的には大泉洋演じる速水が最も出版業界に対して純粋で誠実な人物に映りました。
文学界の大先生の作品に赤字(修正)を入れないのが編集の正しい姿勢だとは思わないし、広告を掲載してくれる企業の顔色を伺い矜持を捨てることが雑誌の本懐だとも思いません。
立場や状況に左右されず信念を貫き自分が面白いと思うものを貪欲に追求する。正しくないと感じたらどんな相手に対しても自分の意見を伝える。芸術とビジネスを両立させるバランス感覚もある。リーダーとしても表現者としても最も信頼出来るタイプの人です。
感心したのは最後、松岡茉優演じる高野の決断。今の時代、最も厳しい小売店(町の小さな本屋さん)の新しい存在価値の提案として納得出来るものでした。
ここ数年の松岡茉優は出演する作品も役者としての存在感も本当に素晴らしいので、桐島で彼女を見出してくれた吉田大八監督には感謝しかありません。
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